2020/03/25

香港人事管理・ここがポイント(番外編)「社員のマナー ―食事での習慣の違い」

 

ポイント④ 番外編

その3. 「社員のマナー ―食事での習慣の違い」

 

☆P商事(香港)営業所の佐藤総経理は、日頃から現地の社員と食事や接待を共にするた びに、社員のマナーの悪さに、ハラハラさせられることがあります。会社では、再来週に香港 営業所設立25周年記念パーティーを控え、参加される来賓に失礼の無いようにと、今日も 全体会議で話してはみたのですが、社員に理解されているようには思えません。今日もやっ ぱり頼りになる我らポイントさんに社員のマナーについて聞いてみることにしました。

 

ポイントさん ついに☆P商事(香港)営業所の25周年パーティーの日が近づいてきましたね!
佐藤経理 それはそのとおりなんですが・・・
ポイントさん 来週には、本社からも大勢いらっしゃるようですね?!
佐藤経理 社長をはじめ役員も何人も来てくれますが・・・
ポイントさん そしてパーティーは、あの有名な五ツ星ホテルで開催ですね!
佐藤経理

取引先も大勢参加してくれ、大宴会になるんですが・・・

ポイントさん あのう、佐藤総経理・・・ビックイベントを控えていらっしゃるにしては、いま一つムードが高まっていら っしゃらないのでしょうか?
佐藤経理 ポイントさん、私はとても心配なんですが・・・
ポイントさん 心配・・・?!何がでしょう?例えば、酒豪で有名な社長のご来港なので、肝臓のことが少し心配とかですか?
佐藤経理 私のことじゃないんです。心配の種は、ウチの社員のマナー。
ポイントさん マナー?
佐藤経理 ポイントさんは、今まで気になりませんでしたか?社員と一緒に食事したり、取引先を訪問したりする とき、日本人は、とても気を遣うではありませんか?ところが、ここの人たちは、自然体というか、あ まり相手に気遣いしていない。これが相手を不快にしたり、失礼になったりしていないかと、内心ハ ラハラすることがあります。
ポイントさん ハラハラ・・・
佐藤経理 特に今回は、我社の25周年でしょう。来賓に失礼なことがあったら大変ですよ!
ポイントさん そういうことですか。でも、例えば具体的にどんなことが気になっておられますか?
佐藤経理 ご存知のように、3ヶ月に一回、私は、各部門の香港人マネージャーを6人連れて、和食のレストラン にランチをしに行くことにしています。
ポイントさん そうでしたね。直接お話しできる良い機会だと、皆喜んでいるようですね。
佐藤経理 まあ、あまり堅いことは言わないようにしているので、気楽な雰囲気になってきているのは良い事なんだけど。
ポイントさん 気楽な雰囲気でないと、食事も話も出来ませんからね。
佐藤経理 いつも、このときは、ゆっくり話せるようにと、レストランが小部屋を用意してくれるのが、部屋の準備 が終わっていなかったので、その間トイレに行って帰って来たところ・・・
ポイントさん どうなりましたか?
佐藤経理 用意されていた座敷で、皆、さっさと自分の好きな席を選んで座り、広東語で楽しそうに話していました。
ポイントさん はあ。
佐藤経理 そして、出入り口から一番近い席が、私のために空けられていました。
ポイントさん 総経理に下座を用意していたわけですね・・・
佐藤経理 私にとっては、下座でも別に良ったのですが、社長や役員が来たときに、こんな対応をされたら大変! と思ってしまって注意しました。
ポイントさん そうだったのですね。
佐藤経理 そしたらまた、言わなくてもいいのに、トイレから帰ったら直ぐ座れるから便利だと思ったとか言うので・・・
ポイントさん もっとムキになって説明されたんですね。
佐藤経理 そうなんです。和気藹々とした雰囲気が一挙にシラケけてしまって・・・
ポイントさん 実は、中華料理の円卓に慣れていると、和の上・下の感覚は難しいかもしれませんね。でも、中華料 理の席にも主席はっきりしていますから。
佐藤経理 そうでしょうね!円卓でのルールについて、是非教えてください。
ポイントさん 円卓の場合には、ウエイターが料理を卓中央に置くために、ウエイターが 配膳するスペースが用意 されています。また、そのスペースは、主席の真正面の席と席の間となっており、ドアに近い位置で す。これが、下座という ことです。
佐藤経理 実は、和式も中華式も似ているじゃないですか!
ポイントさん ただし、主席以外の席順は、円卓の場合には、主席から左右に振り分けての順位ですが、和の場合 には、お部屋の床の間と出入り口の位置関係で説明しなければなりませんから、ちょっと悩ましい時 があります。
佐藤経理 なるほど、ポイントさんのように日本や中国の文化や習慣の違いを豆知識のように社員教育の一環 としてトレーニングすれば、せっかくのランチのムードを壊すことも無かったし、マナーについての心 配の種が減ることにもなるわけですね。
ポイントさん マナーは強要されるものではありません。お互いを尊重し、必要に応じて 反応してもらうことです。
佐藤経理 でも、もう一つ、気になったことがあります。ご飯の食べ方についてですが。
ポイントさん 中華料理では、ご飯は茶碗からお箸でかき込むようにご飯を食べるのが正しい食べ方です。
佐藤経理 そうなんですか?
ポイントさん  : 日本のようにお箸でご飯をつまんで口に運ぶと、母親は行儀が悪いと叱るそうです。
佐藤経理  : それじゃぁ、私たちは叱られるんですね。
ポイントさん  : また、食べるときに音を立てるのは、ヨーロッパではマナー違反でしょう。日本人の蕎麦は音を立て ないと食べた気がしない人が多いと思いますが。
佐藤経理  : 所変われば品変わるですね。そういえば、和牛のステーキを注文した社員がいたので、牛肉が好き なのかと聞いたところ、値段が一番高いから注文したんだと応えていました。
ポイントさん   : それはまたとっても正直な社員ですね。
佐藤経理   : そうでしょう。でも、まだまだ驚かされたことがあるんです。
ポイントさん   : 一体何ですか?
佐藤経理  : 皆食べ終わってお勘定の段になったとき、ある社員が勘定書きをじっくり見ているんです。 そんなに、食べた金額が気になるでしょうか?
ポイントさん  : それは、値段が気になることよりも、レストランのお会計に間違いがなかったかと、チェックしてくれた のかもしれません。ときどき、隣のテーブルと間違ったりするレストランもありますので、お勘定書き はチェックされる習慣をつけられると良いでしょう。
佐藤経理  : そういうことですか。でも、日本でそんなことやると、ちょっと顰蹙ですね。
ポイントさん これで、ランチでの問題は解消されましたか?
佐藤経理 いや、最後にもう一つ。人前で平気でゲップする人がいるんですが・・・
ポイントさん 平気な人が多いかもしれません。生理現象ですから、人前で出すなといっても止められるものでは ないかもしれません。でも、もし出てしまったら、“失礼しました!”と一言付け加えてもらいましょう。
佐藤経理 なるほど。たった1時間ほどのランチでもこんな調子なんですよ。やっぱり25周年は冷や汗ものですなあ!
ポイントさん 総経理。ラッキーじゃないですか?まだまだ、残暑の厳しい今年です、冷や汗で冷房要らず! ということで・・・

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