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2020/03/10

香港人事管理・ここがポイント(香港ワーキングスタイル編)「無問題(モウ・マン・タイ)!」

 

ポイント③ 香港ワーキングスタイル編

その1. 「無問題(モウ・マン・タイ)!」

 

☆P商事(香港)営業所の山田営業部長は、業務内容の見直しや効率的な仕事の進め方を 社員から提案してほしいと考えています。そこで、マネージャーやスーパーバイザーに加え、 ジュニアスタッフも含め全体ミーティングを開きました。しかし、社員の改革意識が薄く、反 応が冴えません。どうすれば、意欲的に業務改革に取り組んでくれるのか?そこでやっぱり頼 りになる我らポイントさんに相談することにしました。

 

山田部長 : ああ、ポイントさん、なんとかなりませんかねぇ・・・
ポイントさん : 何か問題でも?
山田部長 : いやあ、それが、全く問題が無い・・・と言われて、困ってしまっているんです。
ポイントさん : はっ??問題が無いので困る・・・どういうことですか??
山田部長 : 実はさっき、効率的な業務を目指して改善案を募ろうと営業部会議を実施したのですが・・・
ポイントさん : 業務改善ですか。
山田部長 : そのとおりです。
ポイントさん : 対象は、マネージャーの方々ですか?
山田部長 : いやあ、営業部の中でもマネージャーレベルの社員とは、日々直接コミュニケーションを取って仕事 をしているので、僕も比較的業務内容については、改善を図ってきました。
ポイントさん :  はい・・・
山田部長 :  しかし、営業サポートのスタッフレベルの通常業務になると、細かいところまでは、ちょっと理解し切 れていないことが多くて・・・
ポイントさん : それは、そうでしょう・・・。
山田部長 : でも、この半年、会社を上げて残業時間を厳しく調整してきたでしょ。このことから、僕もサポート業 務内容を注意して見る機会が増えました。
ポイントさん : はい。
山田部長 : そうすると、やはり色々気になることが出てきて・・・
ポイントさん : ☆P商事は長い歴史のある会社ですし、特に営業部には、長期勤務されている社員が多いですから・・・
山田部長 :  どうも、何も考えることなくただ単に昔からの業務フローに従っているのではないか、そうであれば、 無駄が多々あるだろうということから、社員それぞれに自主的に改善してもらいたいと思っているわ けです。
ポイントさん : なるほど・・・
山田部長 : それで、今回の第一回目の会議には、一般職の社員を中心に業務内容に問題は無いかと、直接尋 ねてみたのです。
ポイントさん : ところが社員は、問題ありません・・・“無問題(モウ・マン・タイ)”と答えられたのですか・・・
山田部長 : そう、そのとおり!誰もが口を揃えて“無問題”“無問題”・・・
ポイントさん : 自主的な業務改善までは、道のりが遠いようですね。
山田部長 : 道のりが遠いどころか、入り口さえ見えません。なんといっても“無問題(モウ・マン・タイ)”ですから。
ポイントさん : でも通常、現地人社員が、ボスである山田部長から、日常業務に問題は無いか?と聞かれたら、皆 口を揃えて“無問題”と答えますよ。
山田部長 : 答えます・・・って、ちょっと、待ってくださいよ、ポイントさんまで。僕から見てもいろいろ問題がありそ うだからって、聞いたんですよ。“無問題”どころか、問題がいくつか既に見えていますよ!
ポイントさん :  しかし、現地社員にとっての“問題”と、山田部長の“問題”とでは、ちょっと視点が違いますね。
山田部長 : 視点が違う?
ポイントさん : 現地社員にとっては、自分に与えられた仕事の範囲内において、ミスやクレームが出ていなけれ ば、問題が無い・・・仕事の仕方は今までのままで良い・・・ということです。
山田部長 : 今まではそれで良かったのかも知れません。そう考えてしまう気持ちもわからないでもない。でも、 社員としても効率を考えずに同じやり方を進歩なく何年も繰り返している職場で平気なんでしょう か?
ポイントさん : 給料やボーナスが同じように出ていれば平気だ・・・と考えると社員がいます。また、会社の業務内容 に変化が乏しく、自分にとって経験が積めないと考えるタイプの社員は、社内でいろいろな抵抗を受 けながら業務改善することよりも、転職して環境を変える方が、早道だと考えるでしょう。
山田部長 : ああ、そうくるか・・・。
ポイントさん : このように大きく2 つタイプがあるとすると、業務改善をしてこなかった会社には、変化を好まない保 守的な社員が残ることになり、それが会社の歴史と比例し社内の文化となって定着していきます。
山田部長 : はあ・・・会社の文化となってしまっている・・・だから、急に改善なんて言われても、ピンとこなかった んでしょうか?
ポイントさん : それは、ピンときていなかったのではなく、ピンときたのです。改善における会社の利点よりも、自 分にかかってくるリスクの方ですが・・・
山田部長 : はあ・・・
ポイントさん : 特に長く働いてきた社員であれば、慣れた仕事をこのまま続けたい、新しいことにチャレンジすること によるリスクを避けたい・・・と考える傾向があります。
山田部長 : 自己主張もするし、新しいものが好きの香港人・・・というイメージだけれど、改革的ではないんですね。
ポイントさん : 山田部長は、『多做多錯、少做少錯、唔做無錯』という広東語はご存知ではないでしょうね。
山田部長 : 何かのまじないの呪文かお経かな?
ポイントさん : ああ、それは、上手いことおっしゃいましたね!確かにまじないの呪文やお経のような、勤め人の口 癖とでもいいましょうか。
山田部長 : 一体どういう意味?
ポイントさん : 『たくさん働けばたくさんミスをする。少し働けば少しのミスをする。働かなければミスはしない』という意味です!
山田部長 : ドヒャーッ!そりゃぁ、業務改善の道は険しい!

 

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