2019/07/19

香港人事管理・ここがポイント(第10回)香港雇用条例編①「“713”雇用条例の一部改定について」

パソナアジアカンパニーリミテッド 戸崎悦子

 

今週の人事管理のプロ、我らの“ポイントさん”は、今年7月13日に一部改定された香港雇用条例についてお話しします。

 

川崎経理部長 「ポイントさん、ポイントさん、ちょっと聞きたいことがあるんですが・・」

ポイントさん 「いやあ、珍しいですね、川崎経理部長。一体どういったことでしょう」

川崎経理部長 「いやあ、実は、この給与計算の一覧表ですがね。どうも数字に違いがある月を見つけたんですが納得がいきません」

ポイントさん 「何でも“納得する!”がモットーの川崎経理部長ですものね。違いがあるのは気になるでしょう。どれどれ・・」

川崎経理部長 「実は、営業部の蔡さんの給与ですよ。営業部では勤務年数が一番長い蔡さんには、何年も基本給の見直しを控えさせてもらっています。その代わりに営業成績によって四半期に1回ターゲットボーナスを支給する旨、雇用条件を書き加えているのですが、ターゲットボーナスが支給される1、4、7、10月以外の給与は基本給のみのはずです・・・」

ポイントさん 「ふむふむ・・・」

川崎経理部長 「しかし、見てくださいよ。ここの8月と10月分の給与。基本給以外に加算されている数字が結構ありますね」

ポイントさん 「そうですね」

川崎経理部長 「この2カ月はターゲットボーナス支給月ではないので、このように基本給与以外に計算される必要はありませんよね!」

ポイントさん 「いやあ・・それが、今、そうはいかなくなっているのです。川崎経理部長は、7月13日に何があったかご存知ですか?」

川崎経理部長 「7月13日?!誰か偉い人の誕生日を記念してなんてことじゃないでしょうね?」

ポイントさん 「いえ、偉い人の誕生ではなく、“新しい給与の概念誕生”と言ったところです!」

川崎経理部長 「??!!」

ポイントさん 「川崎経理部長のその表情は・・確かにちょっとまずいですね。でも、7月末の人事部からの説明会議で、部長も参加され聞いておられましたよ。給与計算を担当する簡さんがしっかり説明していましたね」

川崎経理部長 「そういえば、何か改定があってややこしい・・とか、愚痴っているように聞こえたという記憶だけが残っています・・・もう一度改めて僕に説明してくれませんか?」 

ポイントさん 「はい。地元企業の中には、基本給を極端に抑えた成功報酬制が色濃い給与を支給している雇用主がいます。不動産斡旋や宝石商、スポーツジムなどといったビジネスに多く、極端なものには、基本給が千ドルぐらいで残りはコミッションで・・といった支給をしていることでも話題になっています」

川崎経理部長 「へえ、厳しそうですね・・」

ポイントさん 「このような給与体系は、雇用主側には固定費を抑えられるので都合が良いのですが、働く側には不利な点が目立ちます」

川崎経理部長 「収入が不安定になりますからね」

ポイントさん 「それだけではなく、基本給を元にダブルペイ支給額が決まります。それのみならず辞職/雇用契約の解約通知金や有給休暇買い取り、金額の大きいところでは長期服務金などいろいろな計算に影響しています」

川崎経理部長 「そういえば、いろいろありましたね」

ポイントさん 「今までは、最終給与の基本給を基に日当を割り出し、相当日数を掛けて計算できたのですが、この改正後はそう簡単にはいきません

川崎経理部長 「改定で一体どう計算するようになったのですか?」

ポイントさん 「こまごましたルールがありますが、今日はポイントだけにさせてください。まずは、来年1月から会社は常に全社員の過去12ヶ月におけるあらゆる人事記録を保管する事が義務付けられました。毎月、前月から12カ月さかのぼった“対象期間”における全収入(契約書に明記された、または約束を交わされた手当てやコミッションなど)を365日で割ることから“日当”を計算する・・となります。ただし、ダブルペイや不定期に支給される手当てや心づけ、また通知金などはこのときは含みません」

川崎経理部長 「ええっ?!ちょっと待って下さい。それじゃ、先ほど話したように、蔡さんへ支給されている四半期に1度のターゲットボーナスも加算して年収を計算するのですか?

ポイントさん 「その通りです。蔡さんの8月分給与計算であれば7月から過去12ヶ月間さかのぼる基本給とターゲットボーナスを含むところの“全給与”を365日で割って日当を出します」

川崎経理部長 「それじゃ、蔡さんは、もう一回10月にも有給休暇を取得しているから、9月からも12カ月間さかのぼって計算してやるってことですか?それも、コミッションには変動があるので、同じ5日間ずつ取得していても、差額が月によって違ってくるということですね。

ポイントさん 「そのとおりです。このように日当に差額が無いかを計算し、差額があった場合は、支い戻してやらなければならなくなりました」

川崎経理部長 「でも、特に蔡さんには、2006年末から今年10月ぐらいまで、随分ターゲットボーナスを支給してきていますから、日当を計算すると差額が大きく出てしまいますよ!!」

ポイントさん 「それが、この8月と10月に加算した数字ということだったわけですね」

川崎経理部長 「ええ~ぇ、ポイントさんには悪いけど、この話、私には納得できませんね・・・」

ポイントさん 「すみません。ひょっとしてどこか説明不足なところがありましたか?」

川崎経理部長 「いえいえ、ポイントさんの説明に納得していないのではありません。忙しい中、有給休暇を与えた上に日当の差額まで支給するのか!!ということですよね。やっぱり、気持ちの上で“納得”できませ~ん!!」

(このお話は次回に続く・・・)

(2007年11月19日掲載記事)

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