2018/08/15

香港人事管理・ここがポイント(第7回) 採用編「帰属意識は、永遠の課題か?!」

パソナアジアカンパニーリミテッド 戸崎悦子

 

今週の人事管理のプロ、我らの“ポイントさん”がお答えするのは、「面接の読み方-その②」です。

☆P商事(香港)営業所の山田部長は、営業アシスタントの欠員補充のための採用活動もいよいよ佳境に差し掛かってきました。なんとか一次面接を終了した山田部長ですが、どうもこれといった採用の決め手を見つけられません。

 

山田部長「あの、ポイントさんが説明してくれた人材の“新しい環境を求めて”っていう転職理由なんだけど、まあ、会社側から言わせてもらうと、仕事への姿勢、会社への貢献心っていう気持ちは無いのかなあ?」

ポイントさん「ふむふむ・・」

山田部長「ふむふむ・・じゃないよ!こっちは毎日、真剣に仕事してるんだから、今回採用しても、また、そんなつかみ所のないこの手の理由で、また辞められちゃったりしたら、ホントにたまったもんじゃない!」

ポイントさん「はい、それは困りますね。大変失礼しました」

山田部長「そもそも、会社への“帰属意識”ってものは、ここの人材には無いのかなあ」

ポイントさん「う~ん、山田部長。おっしゃる通り帰属意識は大切ですが、こればかりは、人材自身がもともと持っているものではなく、企業が意識、無意識に育くんでやるべきものです」

山田部長「ああ、確かにそうかもしれないけど・・・」

ポイントさん「日本では、新卒を毎年採用しては新人教育をしますし、在職中には人事異動もあって、いろいろな環境で上司や先輩、同僚と触れ合うように人材をシャフルしますね。社内教育や節目節目に表彰式や式典などアレンジして、そこで、企業理念や企業文化を感じさせ、帰属意識を育む工夫をしています」

山田部長「ふう~ん。そういえば、ウチのこの事務所では、新卒採用は最初からしてないらしいし、人事異動も皆無」

ポイントさん「そうですね。香港の圧倒的大多数は、☆P商事と同じように中小企業サイズで運営されていますから、新卒を採用して一から育てることは難しいです。また、人材は、専門職意識が強くありますから、同じ職務をいかに深めていくかに重点をおいています。職務経験や通信や成人教育を受けて、その道の専門知識を積み上げながら、より高い収入やポジションのためにがんばっている人が多いです。そんな人材の専門性を無視するような人事異動をしては、人材は辞めてしまいます」

山田部長「ふむ。昨日の面接でも、5人とも営業アシスタントとして、その道一筋で経験を積んできている人ばかりだったよ。夜間にロジスティックスやシッピングを学んでいる人もいたなあ」

ポイントさん「そうです。人材の安定を求めるためには、企業の成長のみならず、このような人材の成長欲を同時に満たしてやらなくてはなりません。促成栽培のような成長が強いられるここの環境で“帰属意識”を持たせて働かせることは、大変な工夫が必要となりますね」

山田部長「確かに・・」

ポイントさん「でも、日本国内の雇用形態も変化してきていますよね。例えば、中途採用なども活発ですね」

山田部長「ああ、ウチの本社でも、中途採用の社員が随分増えてきたよね」

ポイントさん「それでは、何故中途採用するのですか?」

山田部長「そりゃ、ずばり即戦力を求めてだよ。特にウチの本社でも、海外拠点担当者を募集したりして。競業に比べて海外進出に立ち遅れぎみだから、外部からの人材で補っていかないと、社内で育ててはいられない」

ポイントさん「香港では、今や財閥系大企業、大手銀行や公務員でさえも、新卒採用よりも途中入社を重視してきています」

山田部長「そりゃそうだよ。ここは、日本よりもっと短期決戦型の社会だものね。いつも食べに行ってたあの和食屋の“満腹亭”、つい先日行ってみたらいつの間にか別の店に変わっちゃったしなあ・・・」

ポイントさん「はあ・・・」

山田部長「う~ん。でも、そう考えると人材が自分でリスクを背負ってもいろいろ転職してきて、いろいろ経験を身につけているんだったら、それをそのまんまウチで即戦力としてやってくれさえすれば、拾い物ってことか・・」

ポイントさん「そうそう、せっかくですから、この候補者の中で、実際の職務に対応できそうな経験や今の組織に無い能力や可能性をもった人材がどの人かを考えてみてください。そして、是非、人選を進めて二次面接では、職歴の中から☆P商事ですぐにでも活用できそうな経験がないものかをもっと具体的に聞いてみるべきですよ。それが採用の最大のポイントになるかもしれません!」

山田部長「わかったよ、ポイントさん!でも、その前にちょっとラーメン食べに行かない?今、思い出したんだけど、あの角のラーメン屋。もうすぐ止めるらしい」

ポイントさん「お昼近くになると、山田部長の話は、なにがなんでもそっちの方へ行ってしまうんですね」

(2007年10月7日掲載記事)

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