Point 香港人事管理・ここがポイント!
  TOP > 香港人事管理・ここがポイント!
香港人事管理・ここがポイント!


最新記事
バックナンバーの一覧はこちら

パソナアジアカンパニーリミテッド 戸崎悦子

☆P商事(香港)営業所の山田営業部長は、香港赴任してから今まで、現地社員から幾度も辞職願を受け取ってきました。香港駐在が3年になり、現地の様々な習慣にもすっかり慣れ親しんできた山田部長ですが、社員の突然の辞職願には、今でもどうも馴染めません。それは、辞職願が提出されると同時に始まる1カ月の通知期間の引き継ぎや後任人選といった業務に手間がかかり、本来に費やさねばならない営業活動の時間が、大幅に忙殺されてしまうからです。そして、もう一つ、毎度のように、この1ヶ月の終盤に、辞職する社員から決まってリクエストされるリファレンスレター。実は、これが、中途採用を主流とする香港社会では欠かせない流儀であるとポイントさんは言います。そこで、今日も何といっても頼りになるポイントさんに聞いてみることにしました。
山田営業部長
「ちょっと気になることがあるんです」
ポイントさん
「そのおでこの吹き出物のことでしょうか?」
山田営業部長
「うん、まあ、そんなようなもんって・・・ちがうってば!実は、いつものことなんだけどね・・・」
ポイントさん
「いつものことですか?いつも揚げ物を食べ過ぎてませんか?中医ではそう言われますけど」
山田営業部長
「だから、吹き出物の話じゃありませんから!愛想が良くなる・・・というか、いままでの冷たかった態度とは違って、積極的に僕に話しかけてくるんで・・・」
ポイントさん
「怖いですね!奥様でしょ!」
山田営業部長
「いや、だからっ、違うって!僕の奥さん、怖くもないし!あーっ、もう何の話しだか判らないのかなあ?!いや・・・だから、僕が言ってるのは、辞職する社員の話ですよ!」
ポイントさん
「はい、はい、わかってますよ!日頃クールな感じの社員が、急に愛想良く部長に接してこられると言えば・・・、例えば、昇給・昇進・ボーナス等人事評価に関わる面談前。それから、旧正月明けの仕事始めの日とかもそうですね」
山田営業部長
「おお、それそれ」
ポイントさん
「そして、勤務最終日を目前にした頃というのも、毎度、気になられるのでしょう」
山田営業部長
「そういうこと!」
ポイントさん
「特に、勤務最終日を前は、大切な自分の将来に影響するリファレンスレターを会社から用意してもらわなければなりませんからね」
山田営業部長
「そういうことだってね。リファレンスレターっていうのは、辞める社員に対して、会社が必ず用意しなければならないって言われたけど・・・」
ポイントさん
「いいえ、そうではありません。リファレンスレターとは、あくまで会社の任意で用意されるレターです」
山田営業部長
「えっ?!そうなんだ。」
ポイントさん
「会社が、辞める社員の将来の為に、会社の好意で用意されるレターです」
山田営業部長
「それじゃぁ、渡すタイミングは?いつも勤務最終日までには、用意してほしいと言われて、結構バタバタなんだけど、これも決まりはないの?それとも、一般的には最終日までにあげるべきなの?」
ポイントさん
「辞職する社員の都合としては、退職日にもらっておけば安心といったことでしょうが、会社としては、通常、円満退職を確認してから渡すべきです。引継ぎも含めた在職期間における社員のパフォーマンス、責任感、勤務態度や他の社員との協調性なども総合的にみられてから、直属の上司の所感をまとめて、人事部が用意するわけですから」
山田営業部長
「立つ鳥跡を濁さずということに徹してもらわないと、このレターは出せないってことだね」
ポイントさん
「言ってみれば、そういうことです」
山田営業部長
「うん?!それじゃあ、会社にとっては、リファレンスレターを出さないという選択肢も有るってこと?」
ポイントさん
「もちろん任意のものですから、会社には確かに選択権はあります。しかし、中途採用が主流の香港においては、このリファレンスレターを出すということが、採用の流儀にかかってくるということに、着目する必要があります」
山田営業部長
「採用の流儀って?!」
ポイントさん
「採用の流儀とは、リファレンスレターの活用そのものでもあります」
山田営業部長
「そうなんだ。採用面接は、結構しっかりしているつもりだけど、このレターは読んだこともなかった。けれども、実は、このレターが採用を左右するほどの大事な情報ってことだね」
ポイントさん
「そのとおりです。香港の採用活動において、応募者から履歴書、学歴証明書と同様に、今までの就業先から出されたリファレンスレター全てを提出してもらいます。また、応募してきた時、在職中である会社からのリファレンスレターは入手できないため、入社後に忘れず入手、補充してもらうことになる旨も、あらかじめ応募者に伝えておきます」
山田営業部長
「そうなんだ、徹底しているね!」
ポイントさん
「このように、辞職した社員が、新しい雇用主へ必ず提出し、その採用判断の為に読まれるこのレターは、わが社への応募者からも同様に提出されます。応募者の今まで就業してきた企業でのパフォーマンスや勤務状況を確認できる大切な採用判断基準の一つとなるわけです。」
山田営業部長
「ああ、本当だ!これこそ、香港の採用の流儀!企業間において、社員のパフォーマンス情報を自然に交換していることになっている・・・」
ポイントさん
「そのとおりです!また、きちんとレファレンスレターが準備できる企業であることが、管理体制が確立された信頼できる会社として認められることにもつながります。」
山田営業部長
「なるほどね。でも、雇用主は、本当に、その社員の能力や勤務態度、人間関係について、すべて本音で書くのだろうか?当たり障りのない内容になりがちでは?」
ポイントさん
「そこなんです。そこをしっかり読み取る必要があります」
山田営業部長
「そうでしょ。ここの採用の流儀を聞いてもわかるように、このレターには、悪いことは書けないよね。本人の将来が、この一枚に懸かってくるんだから」
ポイントさん
「そこですね。勤務最終日が近くなると、今までめったに話すこともなかった社員が話しかけてくる・・・この気持ちはご理解いただけるでしょう」
山田営業部長
「まあね・・・」
ポイントさん
「要するに、社員は辞める前に、お寿司をごちそうしてもらいたいものだけど、焼肉で妥協させてもらうからと言ってくるんですね」
山田営業部長
「そんなエンゲル係数が超高いリクエストは、ポイントさん以外からされたことはありません」
ポイントさん
「いやあ、このリファレンスレターについては、まさしく、同じことなんです」
山田営業部長
「あっ、そういうことなんだ!それじゃあ、寿司だの焼肉だのとリクエストされても、絶対無理!せいぜいご馳走しても、日式定食屋の生姜焼き定食ぐらい・・・という判断でもいいってこと?」
ポイントさん
「そうです。そういう要領でレターを考えていただく。社員に奢ってあげるけど、パフォーマンス合わせ、お寿司の人もいれば、生姜焼き定食の人もいる・・・」
山田営業部長
「おお、その調子でリファレンスレターの内容をまとめるんだね」
ポイントさん
「あっ、それから、もし、何もご馳走したくない!と思われるような社員がいらしたらどうされますか?ご馳走はしたくないぞ!と、正面切って断わられることはないでしょう?」
山田営業部長
「まあね、いくらリクエストがあっても、ご馳走するかしないかは、こちらの判断だから、レストランへさえ連れて行かなければ、実際ご馳走することにはならないってことだから」
ポイントさん
「はい、ご名答!社員にご馳走されない場合と同様、リファレンスレターを出されない場合についてもこの要領にてご対応下さい」
山田営業部長
「あれ、もう一度聞きたいんだけど、今のリファレンスレターの話しだよね?もうちょっと、具体的に言ってもらえないかなあ?」
ポイントさん
「はい!それでは、寿司屋のカウンター席でお話ししてもいいですか?!」
 
 
 
  • パソナアジアカンパニーリミティッド/人事労務(HRM)アドバイザリーサービス部
  • TEL: 852-2882-3484, E-mail : hrmhk@pasona.com.hk
  • Unit 01, 12A/F., One Peking,1 PekingRoad, TsimShaTsui., KLN., H.K.

[ 時事速報・香港便より転載 ]


  ページのTOPへ ▲


Copyright(c) Pasona Asia Co., Limited