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第126回 香港社員の辞職・転職 -その3.最終給与計算とその他手続き

パソナアジアカンパニーリミテッド 戸崎悦子

☆P商事(香)営業所の山田営業部長は、香港赴任してから今まで、現地社員から幾度も辞職願を受け取ってきました。香港駐在が3年になる今、現地の習慣にはすっかり慣れ親しんできた山田部長ですが、この社員の突然の辞職という現実だけには、なかなか馴染めません。それは、社員から辞職願が出されると同時に、引継ぎ期間の1ヶ月間というカウントダウンが、否応なしに始まってしまうからです。そこで、今日も何といっても頼りになるポイントさんに、社員の辞職に当たっての最終給与計算と有給休暇の関係、また、その他社員の労務手続きについて聞いてみることにしました。
山田営業部長
「“光陰矢のごとし”と言うけれど、辞職願が出されてからの1ヶ月っていうのは、まさしくそんな感じ。いつも、あ~あ~って、言っている間に時が流れ過ぎてしまう」
ポイントさん
「あのう・・・あ~あ~っと過ごされたりされないように、このお話しをさせていただいているんですが」
山田営業部長
「それは、そうなんだけどね。実際は、辞職願を出された当人というか、当所属長としては、やっぱりショックもあってか、とても慌ててしまうんだよね。それでもなんとか、日常業務には影響が出ないようにって、気を遣ってはいるつもりだけどね」
ポイントさん
「はい」
山田営業部長
「慌てても仕方がないことなんだけどね」
ポイントさん
「一人の辞表でも、後任の補充、募集、採用も進めていく必要があったり、また、様々な手続きも済ませていかなければなりませんからね。まさしく“矢のごとし”に過ぎてゆく時間に慌てられても仕方ありませんが」
山田営業部長
「そうでしょ。でも、いつも本当に嫌になってきますよ。スタッフにはけっこう気を遣ってきたつもりで、なけなしのポケットマネーで飲茶をごちそうしたり、出張に行けば土産の一つも買ってきて。でも、気を遣ってきた社員に限って、3年も働かずに「環境を変えたい・・・」とか、訳のわからない理由で簡単に辞めちゃうんだから・・・ブツブツブツ」
ポイントさん
「…」
山田営業部長
「なんとか組織が安定してきたと思ったら、期待してきた社員こそ、あっさり辞めてしまったりと・・・ブツブツブツ」
ポイントさん
「社員の入れ替わりは、香港では仕方無いことですから・・・」
山田営業部長
「分かってますよ、いつも超ポジティブなポイントさんだから、僕がブツブツ言っても”社員の入れ替わりは組織の活性化につながる”とか、現実を受け止める必要がある“とか言いたいんでしょ!」
ポイントさん
「いえいえ、今日は“受け止める”お話しではなくて、”止める”お話です。」
山田営業部長
「”止める”話?」
ポイントさん 
「はい!まず『退職願』をどうされます?」
山田営業部長
「えっ?だから、まず、業務引継ぎを迅速にして…」
ポイントさん
「いえいえ、お尋ねしたいのは、”退職願”という書面についてです。原本をどうされてきました?」
山田営業部長
「原本?そのまま一旦デスクにしまって、1週間ぐらい考えたりして・・・」
ポイントさん
「はっ?この書面は、人事管理上、大変大切な書面となります。どうぞ、お早めに人事部に”原本”だけはご提出ください」
山田営業部長
「そうなの?!」
ポイントさん
「この書面にて、自主退職の意思表示を受け、その後の労務的処置を法定通りに進めることになります」
山田営業部長
「そうだね」
ポイントさん
「社員から書かれた書面の内容も、明記すべき内容をしっかりカバーし、法定通りの内容か確認します」
山田営業部長
「へえ・・・」
ポイントさん
「書面には、通知期日が明記されているか?在籍の最終日が法定通りとなっているか?本人の氏名を、書き忘れる人はいませんが、社員番号やIDカード番号を記入しておき、個人を特定できるようにする必要もありますね。このように、正式書面として正しい記述になっているのかもチェックが必要です」
山田営業部長
「はい」
ポイントさん 
「人事では、退職願を正式に受理した後、これを基に、様々な“止める”タイミングを外さないよう、順次処置をすすめていきます」
山田営業部長
「”止める”タイミングねえ・・・」
ポイントさん 
「まずは、①有給休暇申請受付を”止める”ことになります。また、今までの未取得であった有給休暇の権利日数は、全て会社が買い取ると雇用条例に定められています。休暇取得記録を確認し、残日数があれば、辞職予定月の前の月から過去12ヶ月の平均給与を割り出した上で、日当を計算し、これを基に残日数分の人件費支払うことになります」
山田営業部長
「有給休暇の止めるには、例えば辞職願の提出日よりも前に有給休暇の申請を出したケースは含まれるの?会社が既に承認してしまっている場合はどうなるの?」
ポイントさん 
「う~ん、基本的には、社員が同意してくれない限り、すでに承認済みの有給休暇を、引継ぎ業務が目前にあったとしても、会社が与えないとはいかないでしょうね」
山田営業部長
「引継ぎ業務もあるので、ちょっと遠慮しときます・・・とはならないか。あきらめるしかないね」
ポイントさん 
「さて、まだまだ”止める”ことがあります。②給与の自動振り込みを”止める”です」
山田営業部長
「最終給与の支給には、この有給休暇の買い取りが加算されたりすることから、別に扱う必要があるんだね」
ポイントさん
「このように、最終給与には、最終日までの給与+未取得有休分の人件費等の合計となり、また、最終給与においてもこの会社において最後となるMPFの積み立ても済ませないといけません。これらを最終給与明細としてまとめます」
山田営業部長
「ふむふむ」
ポイントさん
「最終給与の支給総額が特定できれば、退職予定の社員へは、明細内容を説明しておき、双方で確認を取っておくことが理想的です」
山田営業部長
「お金のことだからね」
ポイントさん
「法定基準に従って支払いを済ませることが、雇用主の責任ですからね」
山田営業部長
「ところで、最終給与の支給日は、勤務最終日?」
ポイントさん
「法定基準では、雇用契約終結日より7日以内となっています。この支払いが終わってからの”止める”作業ですが、最終給与支給月のMPFを積み立てると同時に退職した社員の③MPF登録と④医療保険もキャンセルします」
山田営業部長
「なるほど」
ポイントさん 
「そして、最終給与支給が終われば、今年度分の給与支給総額が確定できますね。そこで忘れず、税務局へ申告します」
山田営業部長
「はあ!またまたありがとう、ポイントさん!こんな詳細に理解できたので、辞職願も憂鬱じゃなくなったよ!矢でも鉄砲でも、辞表でも持って来い!だね」
ポイントさん
「そんな勇ましいことおっしゃってますが、また実際に受け取ったら弱られるの目に見えますよ。いつまでたっても、辞職願だけは、苦手なんですよね、山田部長」
山田営業部長
「まあね!」
 
 
 
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[ 時事速報・香港便より転載 ]


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