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第125回 香港社員の辞職・転職 -その2.引継ぎ内容を絞る

パソナアジアカンパニーリミテッド 戸崎悦子

☆P商事(香)営業所の山田営業部長は、香港赴任してから今まで、現地社員から幾度も辞職願を受け取ってきました。香港駐在が3年になる今、現地の習慣にはすっかり慣れ親しんできた山田部長ですが、社員の突然の辞職だけは、なかなかなじめません。それは社員から辞職願が出されると同時に、法定通り、通知期間の1ヶ月のカウントダウンが始まってしまうからです。そこで、今日も何といっても頼りになるポイントさんに、社員の離職による業務への支障を最低限に抑えるための理想的な引き継ぎ業務の進め方について聞いてみることにしました。
山田営業部長
「1ヶ月の通知期間なんて、誰が決めたって言いたい!実際には、あっという間だからね」
ポイントさん
「これは、会社が定めた期間ですけど」
山田営業部長
「えっ?ウチの会社が決めた期間?香港の法定基準じゃなかったの?」
ポイントさん
「香港の雇用条例は、実はもっと短いのです。継続的雇用関係が、2ヶ月以上になる場合、少なくとも7日以上の通知期間、または通知金を以て、雇用契約を解約するとしています」
山田営業部長
「7日!」
ポイントさん
「少なくとも7日以上・・・ということから、一般的には、試用期間を3ヶ月と定めた上、試用期間終了後からの通知期間を1ヶ月としています」
山田営業部長
「ええっ、そうなんだ!それじゃぁ、会社で3ヶ月の通知期間と定めても良いってこと?」
ポイントさん
「職責によっては3ヶ月や6ヶ月と定めている会社もあるかもしれません。例えば、ジェネラルマネージャーや役員との雇用契約の場合ですが」
山田営業部長
「そうだよね。一般職にも3ヶ月ぐらいは欲しいよ。しっかり引継ぎしてもらうためには…」
ポイントさん
「それが、そうもいかないのです」
山田営業部長
「どういうこと?」
ポイントさん
「一般的に定められているこの1ヶ月という通知期間が、香港では常識的な期間と受け止められてしまっているので、会社の雇用条件として通知期間3ヶ月というだけで、入社意欲を半減させる人が多いのです」
山田営業部長
「そうなんだ…」
ポイントさん
「このように、会社と社員間の雇用関係は、1ヶ月の雇用契約を毎月自動更新しているに過ぎません」
山田営業部長
「そういうことだね。それなら、ますます最後の1ヶ月、しっかり引継ぎしてもらうようにしないといけないね」
ポイントさん
「いいえ、最後の1ヶ月からでは、遅すぎます!」
山田営業部長
「はあ??」
ポイントさん
「そこで、”引継ぎ業務の与え方”その①チーム体制で担当させる!」
山田営業部長
「チーム体制で担当?」
ポイントさん
「そうです。メールでの通信が、仕事での主なコミュニケーション方法となってきたことから、社員の担当業務がますます属人的になっています。社員が、このまま長年同業務の担当を続けていくと、自然発生的に、仕事の囲い込みが起こってしまいます」
山田営業部長
「そのとおり。そして、この担当社員が辞めてしまったりすると、誰も 何も分からないことだらけになってしまう」
ポイントさん
「そうですね。でも、メール通信は、文字で記録が残ることから、普段からの通信を部門の上司や同僚にCCやBCCで送って共有できるので、このように情報の共有を日常的に行うようにすれば、業務上の情報を私有化させないことにつながります」
山田営業部長
「なるほど」
ポイントさん
「そして、社員が有給休暇を取得する折には、必ず留守中の引継ぎ書を用意してもらい、チーム内で休暇中の代理役を立ててもらいます」
山田営業部長
「休暇も良いチャンスなんだね!」
ポイントさん
「休暇中の引き継ぎ書も休暇中の代理役も、ある意味で業務の引継ぎに近い練習となるでしょう」
山田営業部長
「本当だ!」
ポイントさん
「それでは、いいですか?”引継ぎ業務の与え方”その②業務マニュアルを作っておこう!」
山田営業部長
「業務マニュアルか…。」
ポイントさん
「できれば、新しく社員が入社した時に、所属部門の業務に関するオリエンテーションを実施できれば、比較的スムーズに部門に溶け込んでもらえると思います。しかしながら、実際問題として、日常業務に追われる社員が、新しい社員への教育係を自ら率先して担当してくれるとは思えません」
山田営業部長
「そうだよねえ。」
ポイントさん
「でも、社内新人教育の用教材として、業務マニュアルを整備され、またメンテナンスされておかれれば、周りを頼りにできない場合でも、短期間で業務知識を得てもらえることでしょう」
山田営業部長
「う~ん、いいねぇ!」
ポイントさん
「そして、ついに”引継ぎの業務の与え方”その③”引継ぎ計画を立ててもらおう!」
山田営業部長
「おお!」
ポイントさん
「これは、まさしく最後の1ヶ月間に、何を、どのように、誰に引き継ぐのか、事前に会社が用意しておく引継ぎ用フォームへ記入してもらうことで、内容をまとめてもらいます。また、この内容は、直属の上司や会社のマネージメントが、しっかり目を通し、内容を確認しておきます。
山田営業部長
「それはいい!辞職願が出されたら、すぐに計画を立ててもらおう!」
ポイントさん
「おっっと、その前に、辞職願が出されたら、当月のカレンダーを確認しましょう!」
山田営業部長
「カレンダーの確認?」
ポイントさん
「そうです。辞職願には、辞表の提出日と在籍の最終日の二日について記述されていることが原則です。特に在籍最終日というのは、提出日から1ヶ月を満了した日の期日が当てられます。例えば、15日付けの辞表であれば、翌月14日が、在籍の最終日になります」
山田営業部長
「うんうん」
ポイントさん
「また、この14日が、祭日や休息日に当たる場合には、その直前の営業日が、勤務最終日となり、勤務最終日とは別に、在籍最終日が14日となりますね」
山田営業部長
「はーっ、そういうことですね」
ポイントさん
「また、辞職願が提出された後には、有給休暇は取得できないというのが原則であることも忘れずに。このように、引継ぎ計画をこの実際の最終月カレンダーに入れ込んでもらい、引継ぎ内容を管理側からも確認しましょう」
山田営業部長
「ありがとう、ポイントさん!これだけ聞けたら、これからは、安心して辞職願を受け取れるぞ!」
ポイントさん
「いやいや、安心されるのは、準備作業の後からでしょ!」
山田営業部長
「おっしゃる通り!!」
 
 
 
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[ 時事速報・香港便より転載 ]


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