第54回 「現地社員への指示命令の出し方・・・とラッキードローの関係?!」香港ワーキングスタイル(7)
パソナアジアカンパニーリミテッド 戸崎悦子
☆P商事(香港)営業所経理部は、本社の業務監査の結果から、この数ヶ月業務内容の改革プロジェクトに取り掛かっています。特に、本社指導の窓口となっている川崎部長は、右腕のアシスタントマネージャーのリタさんを通して、現地調整を行なわなければいけません。しかし、肝心のリタさんへの指示命令が上手くいかず、導入計画が大幅に遅れてしまっている始末。お互いのイライラも手伝って、ついに川崎部長は一方的な要求をリタさんに突きつけてしまい、上司と部下の関係に亀裂が深まってしまいました。そこで、今日もやっぱり頼りになる我らポイントさんに香港人への指示命令のコツについて聞いてみることにしました。
- 川崎経理部長
- 「ポイントさん、今日は、ついに険悪なムードになってしまって・・最後は泣かれてしまいましたよ・・まいったなぁ・・・」
- ポイントさん
- 「川崎部長、私にそんなご相談になっても困ります。昔から、夫婦喧嘩は犬も食わないと言うじゃありませんか・・」
- 川崎経理部長
- 「あのう・・我が家の夫婦喧嘩をポイントさんに相談してどうするの?!経理部アシスタントマネージャーのリタさんとの会議での話しですよ!本社の監査結果を受けてから、経理部は大変なんです!」
- ポイントさん
- 「そうでしたね。業務改革は大変です。いつもはクールなリタさんには珍しく、二人で熱く改革について話し合われたのですね?」
- 川崎経理部長
- 「いや、熱くなんて話し合ってはいませんよ。説明も難しいので、単刀直入、今私がどうしてほしいかだけを伝えてました」
- ポイントさん
- 「全体説明はされなかったのですか?」
- 川崎経理部長
- 「本社の動きについてですからね・・それをどこまでの説明する必要があるのでしょう?」
- ポイントさん
- 「それはですね、リタさんは、長年☆P商事香港営業所の経理部を支えてきたと自負されている社員ですから、新しく業務を改革されるとなると、今までの彼女の仕事を否定されているように捉えられるとやっかいなことになります。せめて、本社は、香港だけではなく海外拠点を回り、全体的に監査しているというような基本的な事実説明が必要です」
- 川崎経理部長
- 「う~ん・・」
- ポイントさん
- 「一から十までとは言いません。でも、相手を尊重する意味で、一定の説明が必要でしょう」
- 川崎経理部長
- 「でも、今回の話しは、本社の監査結果で、現在の経理部の人員数やフローを大幅に見直すべきという厳しいコメントだったんです。この話は、説明すればするほど、変化を嫌うリタさんが抵抗するのではないかと思ったので・・・」
- ポイントさん
- 「なるほど、そうでしたか。確かに内容によっては、説明が難しいですね。また、どこまでオープンにできるか・・という配慮も必要ですから」
- 川崎経理部長
- 「指示命令を与えるときの注意点はなんでしょう?」
- ポイントさん
- 「指示命令という前に、常々のコミュニケーションについても気を付けてください。例えば、(1)一方的な言い方で命令し、常に社員の意見は通らないもの(意見を言う必要がない)と社員を諦めさせていないか? (2)できる範囲で説明し、話しの筋と結果が見え易くなっているか?(3)できるだけ合理的で、社員の得にもなる結果を与えられているか?などが大切な点です」
- 川崎経理部長
- 「そうでしたか・・大枠から攻めるんですね。私は、これまで細かい仕事の仕方ばかりを指示してました。だから、どの要求に対しても、自己弁護というか、いい訳のような返事ばかりで、話が前進しなかったんですね。だから、ついに今日、会議の冒頭に“これは私のオーダーです”と言い切ってみたら、こうなったんだ!」
- ポイントさん
- 「何と言っても上司からの命令は絶対ですから・・」
- 川崎経理部長
- 「上司の命令って言われると、確かにキツイですが・・・」
- ポイントさん
- 「川崎部長の場合、カタカナで外来語で、ファミレスでの“オーダー”と同じ意味で使われたのでしょうけれど・・・」
- 川崎経理部長
- 「そうそう、そんな感じなんですよね」
- ポイントさん
- 「でも、頑なになっているリタさんには、全体的な説明がなく、細かい指示ばかりで、また、意見を聞かれることもなしに、上司の立場から“これは私のオーダーだ!”と言われると・・きっと、一方的で絶対的な命令を出されたと受け止め、驚かれたのでしょう」
- 川崎経理部長
- 「う~ん」
- ポイントさん
- 「それから、リタさんは、この会社が香港に設立以来の社員ですよね」
- 川崎経理部長
- 「はい。会社への貢献度は高い社員であると心から感謝しています。でも・・」
- ポイントさん
- 「でも・・・?」
- 川崎経理部長
- 「でも、現状に合わせ、今までの仕事のやり方を変えてもらわないといけないという時が来たわけです」
- ポイントさん
- 「それであれば、尚更、細かな業務の指示の前に、今までについての感謝と今後求めるべき目標を筋道を立てて話しておかれるべきでしょう」
- 川崎経理部長
- 「なるほど・・・」
- ポイントさん
- 「それから、どこかのスポーツウェアーのキャッチコピーのように真剣な顔で“Just Do It!”などと言われてはいませんよね?」
- 川崎経理部長
- 「えっダメだったんですか?」
- ポイントさん
- 「あっ、やっぱり・・・このような場合には、一緒にやろう・・とLet‘s・・を付けられるとか、君に是非やってもらいたいのでお願いしたいという言い方、Pleaseを付けられると、スムーズに受け入れられることでしょう。それから、極めつけとしては・・」
- 川崎経理部長
- 「極めつけですか?!?」
- ポイントさん
- 「まず、川崎部長にお聞きしますが、香港の年末に欠かせないものは何ですか?」
- 川崎経理部長
- 「香港の年末の欠かせないもの??」
- ポイントさん
- 「それは・・みんな大好き、ラッキードローですよ!」
- 川崎経理部長
- 「ラッキードローって“福引き”?」
- ポイントさん
- 「そうです。指示命令とかけて、ラッキードローと説く・・・」
- 川崎経理部長
- 「はい、その心は・・・?」
- ポイントさん
- 「後で必ず何か得する当たり(結果)がついてくる!というアピールが必要である・・ということですね!」
- 川崎経理部長
- 「うう~ん、微妙に長い落ち・・・やっぱり、指示命令はむずかしい!!」
- ポイントさん
- 「香港の社員の美学、一挙両得、得することが大好きなので、ラッキードロー方式を憶えて置いてくださいね!」
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- パソナアジアカンパニーリミティッド/人事労務(HRM)アドバイザリーサービス部
- TEL: 852-2882-3484, E-mail : hrmhk@pasona.com.hk
- Unit 01, 12A/F., One Peking,1 PekingRoad, TsimShaTsui., KLN., H.K.
[ 時事速報・香港第2便より転載 ]
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