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第45回 「有給休暇は全部消化する」
‐ローカル社員の心理入門シリーズ(その4)

パソナアジアカンパニーリミテッド 戸崎悦子

今週の人事管理のプロ ポイントさんは、香港で良好な人事マネージメントを行う為に知っておきたいローカル社員の考え方や価値観、働き方などについてお話します。

☆P商事(香港)営業所の佐藤総経理は、香港に赴任して2年目になります。香港へ赴任してきてからは、一時帰国で日本の家族の元へ帰るなど、まとまった休みを取るようになりましたが、日本にいたころは有給休暇などほとんど取らずに勤務してきました。ところが、香港の社員は、与えられた有給休暇を全て取るものだと知り、驚きが隠しきれません。そこでやっぱり頼りになる我らポイントさんに相談することにしました。
ポイントさん
「佐藤総経理、お呼びでしょうか?」
佐藤総経理
「忙しいところ申し訳ありませんね、ポイントさん。早速ですが、気になることがあって・・・」
ポイントさん
「先ほどリリーさんからちょっと伺いましたが、彼女の有給休暇についてでしょうか?」
佐藤総経理
「ポイントさんだけあって、ホント早耳だねぇ・・」
ポイントさん
「ゴホン!人事には正確な情報を迅速に収集する必要があります!その早耳という響きはちょっと・・・」
佐藤総経理
「そんな響きのことより本題にいこう!」
ポイントさん
「ええっと、リリーさんの一人息子の幼稚園の面倒を見る人が見つからないとのことで・・・」
佐藤総経理
「そう、それで有給をということらしいんだよ・・なんでも、香港の幼稚園や小学校は、豚インフルエンザで早くから休校が続いていたんだよね。それが、そのまま一足早い夏休みに突入してしまった・・・」
ポイントさん
「リリーさんのみならず、香港中の共働きの夫婦で中学生ぐらいまでの子供をもつ親にとっては共通の問題です」
佐藤総経理
「まあ、私もそれは理解しているつもりだよ。だけど、取れる日数を全て申請してきたのには驚いた。香港では、このように与えられた有給休暇を全て消化しきることが社員の常識と聞いたんだが・・・」
ポイントさん
「それで?」
佐藤総経理
「えっ?“それで?”なの。私は正直なところ、ちょっと呆れてしまったんだよね。会社に入社して30年になるけれど、日本では、全部使い切るような社員にお目にかかったことがない!」
ポイントさん
「日本ではそうでしょうが・・・」
佐藤総経理
「それも、リリーさんのように家庭の事情であれば仕方ないと思えるんだけれど、有給休暇の期限が切れそうになるからって、慌てて駆け込み申請する社員もいるそうだね。有給を消化するためだけに、予定も無いのに休んで、家でゴロゴロしていると言うじゃないか・・・」
ポイントさん
「はい、そういう人もいるでしょう・・・が、」
佐藤総経理
「いくら会社から与えられている権利であるといっても、そこまでして、有給休暇を全部消化する必要があるとでも言うのかね!!」
ポイントさん
「ずばり、はい、そのとおりです!」
佐藤総経理
「そのとおり!?」
ポイントさん
「社員には無理してもらっても、期間内に全部消化してもらう必要があるのです」
佐藤総経理
「???」
ポイントさん
「また、会社側も社員に定期的にリマインダーを出してでも、期限内に有給休暇を消化させるよう指導します」
佐藤総経理
「???」
ポイントさん
「それは、有給休暇は、会社が社員に有給で取得させるために設定した休暇なのですから」
佐藤総経理
「まあね・・・」
ポイントさん
「リマインダーを出す必要がある社員に比べれば、リリーさんのように自主的に有給休暇を管理し、期限内にきちんと全て消化してくれる社員は、会社の人事にとっては、とてもありがたい存在です」
佐藤総経理
「ハア?そんなありがたさがあったのか・・・」
ポイントさん
有給休暇に関する香港の法律では、3ヶ月以上継続した雇用関係に与えられる休暇として定められています。入社後1年満了し、勤続1年と2年では、それぞれ年に7日間、そして3年からは、毎年1日ずつ加算され、最高14日までの有給休暇を与えるということが、法定の最低基準となっています
佐藤総経理
「ふむ・・・」
ポイントさん
「しかし、この基準だけでは、運用上、明確とは言えません。そこで、会社としてその詳細を規定しておく必要があります。
佐藤総経理
「それについては、ウチでは、雇用契約書にいろいろ書いてあったと思うけれど・・・」
ポイントさん
「そうですね。例えば、この☆P商事では、初年度は、法定の7日ではなく、10日の有給休暇を与えています」
佐藤総経理
「そうそう!なんでも、香港バブル期、7日の年休では、なかなか優秀な人材が採用できないと言うことで、有給休暇を増やしたと聞いたよ・・・」
ポイントさん
「その他にも、有給休暇の年度も統一しましたね。それまでは、社員の入社日から1年としていたものを、会社の会計年度に全員合わせて調整しました。お陰で、有給休暇取得の消し込み作業など、管理しやすくなりました」
佐藤総経理
「はあ、そういうこともあったんだ」
ポイントさん
「それから、人手不足の時期には、社員の未消化の休暇が増えたので、翌年度の持ち越しを可能にしましたが、その後、累積日数が増えすぎたので、繰越は5日までと規制しています。このように、福利厚生の内容は、運営上の問題や市場に合わせて、会社と社員にフェアーであることを前提に、合理的にアップデイトされる必要があると思われます
佐藤総経理
「人事は時代とともにその手段を変るということだね」
ポイントさん
「そういえば、入社初年度は、試用期間が終わっても入社1年を満期していないと取得申請とできないという規則ですが・・・」
佐藤総経理
「法定基準のとおりだろ。それに、初年度から休みを取ろうなんて、ちょっと顰蹙をかわないか?」
ポイントさん
「試用期間の3ヶ月は、休んでもらうわけにはいきませんが・・・」
佐藤総経理
「仮に試用期間が終わったとしても、初年度から有給となるとねぇ・・・」
ポイントさん
「会社としては、まだまだ休みを取ることよりもしっかり勉強してほしいという、そのお気持ちは判ります。でも、その社員が、優秀あれば良いのですが、1年になるのに、評価が高くない場合はどうされますか?」
佐藤総経理
「それは、有給休暇とは別の問題だよ。このご時勢、1年経っても評価が低い社員であれば、残念ながら雇用継続は難しいだろう」
ポイントさん
「それでは、2年目になるかならないかで解雇とされた場合、初年度の有給休暇を全て会社が買い取り、最終的には支払うことになります」
佐藤総経理
「いやあ、それは、1ヶ月の通知期間があるのだから、それから差し引かせてもらえると聞いたことがあるよ。買い取りは、避けたいところだからね」
ポイントさん
「それが残念ながら、解雇や自主退職の場合、その通知期間の1ヶ月から未取得の有給休暇を差し引く というように、会社が一方的に決めることはできません」
佐藤総経理
「会社が必ず買い取る、日当を日数分払うということになる?」
ポイントさん
「そういうことです」
佐藤総経理
「ああ、わかったよ!自分でさっさと有給休暇を全部消化してくれる社員・・如何にありがたいかってことになるんだ」
ポイントさん
「お判りいただけましたか!」
佐藤総経理
「♪♪休めば~少なし~会社のペイ♪♪」
ポイントさん
「ついに替え歌できましたか、総経理」
佐藤総経理
「ポイントさん。これからの人事管理は、新しい手段でと言いたかったんだろ?」
ポイントさん
「恐れ入りました!」

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  • TEL: 852-2882-3484, Fax : 2890-8553, E-mail : hrmhk@pasona.com.hk
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[ 時事速報・香港第2便より転載 ]


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