第41回 「コストカットから見る、福利の見直し」(その5 完)
パソナアジアカンパニーリミテッド 戸崎悦子
報酬制度の見直しの最終回は人事管理のプロ、ポイントさんが経費削減のヒントとして福利の見直しをお話します。
☆P商事(香港)営業所は、社員への報酬や福利の内容を見直してきましたが、今日は会社で加入している社員への団体医療保険についてポイントさんに話を聞くことにしました。
- 山田営業部長
- 「おっはようございます、川崎部長、ポイントさん!さあ、今日も始めますか?!」
- 川崎経理部長
- 「始めますかじゃないだろう、山田君!私とポイントさんのシビアな会議をまた仕切るつもり?」
- 山田営業部長
- 「いや、今日の会議が医療保険の見直しなんで、是非拝聴しなきゃって!!」
- 川崎経理部長
- 「力入ってるけど、どうしたの?」
- 山田営業部長
- 「最近営業先で会った、香港企業の社長とグチってたんですけどね、“なんで今時の若い連中は連休明けに病欠しちゃうかなって”」
- 川崎経理部長
- 「今時の若い連中への愚痴は国境を越えるんだねぇ」
- 山田営業部長
- 「病欠とか言ってるけど、根性が足りてないんですよ!病院の診断書出せばいいと思ってる!」
- ポイントさん
- 「まぁまぁ、山田部長、営業部に頻繁に病欠する社員が居るんですね?」
- 川崎経理部長
- 「今は新型インフルエンザに過敏だから、発熱なんて言われたら、自宅で静養してくれと言わざるを得ないよねぇ」
- 山田営業部長
- 「何も無理してとは言っていません。そりゃ、風邪の一つや二つひくこともあります。でも、社会人は健康管理も仕事の内でしょ。何で毎月毎月必ず病欠するんですか?!それも、日曜や祭日の翌日に!」
- ポイントさん
- 「。。。。特定の社員がそうなんですね?あくまでも一般論ですが、ローカル社員さんには、健康管理の意識が低いかも知れません。わが☆P社のように診断書が有れば、病欠扱いとなり、病欠は有給という場合、病気しても社員のリスクは低いんですよ」
- 川崎経理部長
- 「休んで仕事に穴が空くばかりじゃなくて、保険で診察料をクレーム、全て会社の経費じゃないですか!」
- ポイントさん
- 「私の老婆心ですが・・・管理者の皆さんは、病欠や病気について社員へ発言されるときは、充分気を付けてください」
- 山田営業部長
- 「社員には、健康で毎日出社してもらいたい、社会人として、自己管理もわきまえて欲しいというのは、いけませんか?」
- ポイントさん
- 「病気や体調のことはあくまで個人的なことですから、例えば“病気がちだね”とか“持病があるの?”などは、管理者が発言すると、差別として受け取られる可能性が有ります。メンタルな問題を抱えている社員も少なくない時代ですから、過干渉にならないよう発言は慎重に、言葉を選んでいただきたいものです」
- 川崎経理部長
- 「世の中複雑になってきているようだから、体育会系のノリだけでは突っ走れないってことだよ、山田君」
- 山田営業部長
- 「香港には、日本の“健康保険”に当たるものはありますか?」
- ポイントさん
- 「日本のような“健康保険制度”に当たるものは香港にはありません。川崎経理部長も給与計算には、健康保険料の天引きなど無いことをご存知ですね」
- 川崎経理部長
- 「だから、福利で団体医療保険に加入してるんですよね。」
- ポイントさん
- 「そのとおりです。香港でも、外資系や地元中・大手、そして日系企業の多くが、福利厚生の一環として、社員の病気や入院時に備えた医療保険に加入しています。」
- 川崎経理部長
- 「うちは社員の職位に合わせて、契約してる保険にもランクがあるんですが、これも一般的ですか?」
- ポイントさん
- 「そうですね。管理職は人数も限られており、万一の補償額も高め設定の保険に加入している訳です。採用の時の条件にもなりますからね。でも、一般職に対しては、平均的なパッケージを選ぶことで、経費全体の調整をしています」
- 川崎経理部長
- 「我が社では、毎年保険料金が上ってきているのですが?」
- ポイントさん
- 「保険料の値上がりには、理由が有るはずです。保険会社とは、少なくとも更新時期前に、必ず意見交換をしてください。過去1年の医療機関の使用頻度や補償総額や単価などを参考に、社員が実際必要としている補償内容、また、会社が許容できる治療費を再考しましょう」
- 山田営業部長
- 「具体的には?」
- ポイントさん
- 「我社の社員の過去1年の通院回数や通院費の平均など記録を目安にして、治療費の求償の上限が、幾らなら適切なのか。治療費の100%カバーする保険が必要か80%だとどうなのか・・・など、組み合わせを検討することで予算に合わせた保険費のコストカットができるかもしれません」
- 山田営業部長
- 「この間入社したアシスタントマネージャーは、外資にいたでしょ。歯科医療費について聞かれましたが、専門医は対象外ですか?」
- ポイントさん
- 「パッケージにもよると思いますが、これも年間通院回数と初診金額に上限が設定され、この範囲内であればカバーされるようになります。また、香港ならではですが、西洋医のみならず、中医の通院を認めたパッケージもあります」
- 川崎経理部長
- 「それは、ローカル社員には嬉しいでしょうね。漢方医、鍼灸医、接骨医に通う人が結構多いようですから」
- ポイントさん
- 「ただ、経費面からすると、漢方医はかえって会社の負担になる場合があります。西洋医と違って、体質改善から病を治すという考えなので漢方医への通院回数は、自然と多くなることも。また、有名な漢方医に通えば、治療費も西洋医のクリニックよりも高くつきます。そこで、パッケージに東洋医も入れる場合には、全通院回数が30回であれば、そのうち5回までといったように、また初診料の治療費負担適正も考慮した設定が必要です。保険の利用が増えれば、次年度保険料の上昇につながることにもなりかねません」
- 山田営業部長
- 「なるほど・・・」
- 川崎経理部長
- 「よ~し、早速、保険の中身の勉強をさせてもらおう!そして、削減につなげよう!」
- 山田営業部長
- 「僕は、体育会系として、社内で“ラジオ体操”でも奨励しよう!」
- ポイントさん
- 「香港の人に“ラジオ体操”は、ちょっとどうでしょう?」
- 山田営業部長
- 「そうですか・・ウケませんか・・・それじゃ、総経理と一緒に“ドライ・スイミング”奨励っていうのはどうでしょう?」
- 川崎経理部長
- 「何、その“ドライ・スイミング”って?新種目?」
- 山田営業部長
- 「ポイントさんは、ご存知でしょう?ほら、こうして、手でしっかりかき混ぜて・・
- ポイントさん
- 「知ってますよ、別名“マージャン”という旧種目のことですね」
- 川崎経理部長
- 「なんだよ、それ!」
- ポイントさん
- 「きっとそれなら香港の人もストレス解消。抗インフルエンザ剤より効き目があるかも知れませんよ!」
- 山田営業部長
- 「そうでしょ!!」
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[ 時事速報・香港第2便より転載 ]
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