第34回 番外編「速報!2008年昇給率と、今後」
パソナアジアカンパニーリミテッド 戸崎悦子
今週の人事管理のプロ、我らの“ポイントさん”は、年末番外編として、2008年における昇給率、ボーナス支給の実績と現在の雇用環境についてお話します。
☆P商事(香港)営業所の佐藤総経理は、急激な景気の落ち込みと来期の市場の不透明感で頭が痛い毎日です。年末にさしかかり、今年の昇給率とボーナス支給についてポイントさんからのレポートを手にちょっと考え込んでいます。
- ポイントさん
- 「あの、佐藤総経理!師走だからって小走りでどちらへ急がれているんですか?」
- 佐藤総経理
- 「丁度ポイントさんのことを探してたところなんだよ。今ちょっといい?」
- ポイントさん
- 「昇給率レポートを握り締めておられるようですが、何かご質問でも?」
- 佐藤総経理
- 「そうなんだ、今年も昇給についてのレポートを見せてもらったよ。2008年の平均昇給率実績が、1999年以来最高の昇給率で3.9%ということだったんだよね」
- ポイントさん
- 「はい・・・これは、香港人力資源管理学会が、今年1月から10月に香港企業16業種107社を対象に行った昇給と賞与についてのアンケート調査の結果です。このアンケート調査に協力したこれら107社のうち100社が、今年昇給を実施していたということです」
- 佐藤総経理
- 「でも、昨年ポイントさんは、今年の昇給率予想として、4%~4.5%ってリポートしてたよね。だから我が☆P商事も4.5%を平均として支給したけれど、このレポートを見る限り、ちょっと上げすぎたのかも知れないね。今さら言っても仕方ないけれど・・」
- ポイントさん
- 「総経理、日系企業の平均昇給率は、毎年のこの調査の全体平均値よりも高い傾向があります」
- 佐藤総経理
- 「日系の方が現地企業より気前が良いってこと?」
- ポイントさん
- 「香港の中小企業の平均昇給率と大企業の平均昇給率を比較すると、中小企業の昇給率の方が高いという結果です」
- 佐藤総経理
- 「そう?!」
- ポイントさん
- 「従業員数が500人以下の中小企業の平均昇給率の方が、大企業を含めた平均昇給率よりも高い4.6%という結果になっています。在香港の日系企業サイズを考えれば、地元中小サイズの企業平均に近い昇給率となっているのではないかと思われます」
- 佐藤総経理
- 「なるほど・・・じゃあ、今年のわが社の昇給率は順当であったというわけだ」
- ポイントさん
- 「順当という意味では、昇給率と消費者物価指数の推移もレポートにもご用意していますのでご覧になって下さい。このグラフ(グラフ1)の推移からもおわかりになるように、第1四半期においては4.8%、第2四半期には6%と顕著な物価高が予想通り続いてきました。しかし、第3四半期に入ると、昨年の予想を上回る景気の急激な後退で、物価指数も3.1%と下降してきました。4.5%の昇給といても実質的な上昇率となると、この消費者物価指数を差し引いたもので見ますと、第3四半期までは、実質的な昇給は0になってしまいましたね」

- 佐藤総経理
- 「そうなると、ダブルペイやボーナスに社員の期待がかかるわけだろうね。これらの支給の傾向はどうなっている?」
- ポイントさん
- 「ダブルペイと業績ボーナスについては、このアンケート結果報告において大変興味ある報告となっていますよ。2001年の同調査では、89%の企業がダブルペイを支給したとしていましたが、今年の調査では107社のうち55社が支給を実施している・・・51.4%という結果でした」
- 佐藤総経理
- 「ダブルペイ実施が半分ぐらいまでになっているわけだ」
- ポイントさん
- 「これは、この数年の賞与に関する傾向として、固定賞与であるダブルペイではなく、業績と個人の貢献度から支給される業績ボーナスへと、企業は切り替えを図ってきているということです」
- 佐藤総経理
- 「企業としては、固定経費軽減になるからね。でも、その程度では、例年とは全く様子が違っているこの環境に対応できるとは思えないんだが・・・、2008年のデータが参考にならないようなこの状況が大問題だよ」
- ポイントさん
- 「確かにそうですね・・・香港のGDPの推移グラフ(グラフ2)を見ても、厳しさは顕著になってきていますね」

- 佐藤総経理
- 「今できることはコストを極力抑えることだけれど、人事のプロの立場からポイントさんのご意見も拝聴したいんだが」
- ポイントさん
- 「経営的には大変厳しい現状はありますが、人事の立場ではひとつのチャンスとして捉えるべきではないかと思います」
- 佐藤総経理
- 「ひとつのチャンス?!」
- ポイントさん
- 「そうです。人事がやるべきことは、無駄な仕事、効率の悪い仕事を見つけ徹底的に無駄な仕事を省くことです。この作業の中から、適正人数の割出し、仕事の簡素化と効率化、そして職位と職務内容を明確にし、現社員の適性・能力を判断することにもつながります」
- 佐藤総経理
- 「ほお・・・」
- ポイントさん
- 「まずは業務内容を点検し、仕事にダブりが無いか?や、今までそうしてきたからといった理由で、必要性の低い仕事を繰り返してきてはいないか?などを見つける作業です。今まで見過ごしてきた“職務分掌”の見直しを人事のプロと上司と社員が三位一体で行う必要があります」
- 佐藤総経理
- 「いろいろな無駄が見つかりそうだね」
- ポイントさん
- 「業務監査をするうちに、分類した仕事にかかる時間から人経費を計算してみると、作業内容によっては、外部の委託業者に切り替えた方が安くて便利なことも出てくるかもしれません」
- 佐藤総経理
- 「ああ!」
- ポイントさん
- 「また、この調査が進めば、組織の適正人数が明確になってきます」
- 佐藤総経理
- 「まさしく『業務改革』の真髄だね」
- ポイントさん
- 「例えば社員の皆さんから節約のアイデアを募集されて、社員の意識を変えるチャンスとなります」
- 佐藤総経理
- 「・・・・・」
- ポイントさん
- 「あれ?あのう・・総経理、どうされましたか?」
- 佐藤総経理
- 「いやあ、困ったなあ・・秘書のリリーさんから“総経理は、外部委託の方がいいんじゃない?”なんて言われちゃたりして・・・」
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[ 時事速報・香港第2便より転載 ]
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