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第32回 (雇用条件編7)「残業手当、カットしちゃって大丈夫?!」

パソナアジアカンパニーリミテッド 戸崎悦子

人事管理のプロ、我らの“ポイントさん”では、香港での「採用条件」について10回シリーズでお届けします。その7は“残業手当の支給”についてです。

☆P商事(香港)営業所の山田部長は、景気の減退でお客様からのオーダーは減少の一途なのに、セールスアシスタントの残業手当が減ってこないことが不思議でたまりません。そこで、我らがポイントさんに“残業手当”のカットについて尋ねてみることにしました。
山田営業部長
「すみません、ポイントさん、ひとつ相談にのってくれませんか?」
ポイントさん
「私でよければご相談にのらせていただきます。このところの景気減速で営業最前線の皆さんの苦労は、山田部長のご様子からお察ししていましたよ。。。。」
山田営業部長
「実は“人件費削減”・・・いやいや“業務改革”をするしかないかなと。」
ポイントさん
「山田部長は着任早々から佐藤総経理に全体会議がある度指摘されていますからね。営業部も改革に着手ですか?」
山田営業部長
「そうなんです。ずばり“残業手当”を止めようかと。香港地元のベンダーさん情報ですが、その会社では、“残業手当”を以前から一切支給していないということでした。この景気ですから、我社も残業手当を止めてしまってもいいのではないかなと思ったんです」
ポイントさん
「なるほど、確かに香港雇用条例には、労働時間の規定自体がありませんから、何時間以上働いたら“残業”となるという法規定も、“残業手当”を払うという決まりも無いんですよ」
山田営業部長
「やっぱりそうですか。それじゃ、☆P商事香港営業所も、残業手当支給を中止してコスト削減・・いや、業務改革として実行できないものでしょうか」
ポイントさん
「でも、山田部長ここで問題なのは、☆P商事には長年残業手当を支給してきたという運用実績がありますよね。今から雇用条例には無いからと一方的に残業手当を廃止すると「雇用条件の改悪」牽いては社員に『推定解雇』だと解釈されるリスクがあります」
山田営業部長
「いやいや推定解雇なんてつもりは全く・・」
ポイントさん
「しかし・・リスクは否めません」
山田営業部長
「うむ~、そこをなんとかポイントさんのアドバイスで、リスクを回避しつつも、手当を撤廃か、せめて残業時間の割り増しレート・・・確か我社は時給の2割増しでしたよね・・これを引き下げるとか・・・とにかく、この業務改革を推し進めることは出来ませんか?」
ポイントさん
「それには、充分な準備と残業代支給の対象となっている社員からの同意が必要になります」
山田営業部長
「準備というと?」
ポイントさん
「まず、残業代を払っている社員に対し「雇用条件の改定」を改定する期日前に、充分な猶予期間を取って書面を以って通知します。
山田営業部長
「前もった書面の通知・・ふむふむ・・・」
ポイントさん
「次に残業手当の廃止や、時給レートの見直しについて具体的な条件変更内容を雇用契約書の“付記”としてまとめ個別に配布します。一人一人の社員が、この条件変更について内容を確認し、署名によって了承したという記録を残す事で、同意の下の「雇用条件の改定」となるわけです。
山田営業部長
「サインしたくない・・といった社員の場合にはどうなりますか?」
ポイントさん
対象社員からの同意、署名がもらえない場合には、その社員に対しての見切り改定は出来ません
山田営業部長
「・・・ふむ・・・」
ポイントさん
「でも・・このところオーダーが減っているのに、なぜ営業部の残業時間が減らないんでしょう?不思議ですね。山田部長の業務改革の第一弾にされたいほど、残業手当が気になるんですか?」
山田営業部長
「そう!そこなんですよ。これだけオーダーが減れば業務量も減少しているはずなのに、残業時間は不思議と減らない!忙しい時には、全く気にしていなかったんですが、残業手当が目に付くようになったというのが本音です。ほんとに情けない話ですが・・・」
ポイントさん
「山田部長、それは、情け”無い”話というよりも、残業管理の責任の所在が“無い”という話ですね」
山田営業部長
「残業管理の責任の所在ですかぁ?」
ポイントさん
「そうです。この残業手当を支給するという規定は、法律にはありませんが、、香港の日系企業の多くが支給しています。ローカル社員は一度日系企業で働くと、日系企業内で転職を繰り返す傾向が強いことから、残業手当がつかない会社だと、同じ給与でも条件的に劣ってしまうんですよ。だから、☆P商事香港営業所も設立当時から事務職の社員には残業手当を支給してきたわけです」
山田営業部長
「なるほど・・・」
ポイントさん
「我社の規定だと、社員が残業申請して来たら、その残業の必要性を直属の上司が判断して、実行されるものですよね。山田部長も毎回残業申請書にサインしていらっしゃいますね」
山田営業部長
「まあ、そういえば・・。申請書類には洩れなくサインしてるけど、中国出張が多いので、結構事後承認だったりするのでね。それでしっかり残業を管理してますか?といわれると、ちょっと自信が無いというか・・・」
ポイントさん
「それでは、ここで残業手当や残業時給の割り増しを廃止されるよりも、“残業時間減少”や“効率を目指した業務フローの見直し”など、業務改革に挙げられるというのはどうでしょう。管理側の一方的な要求を伝えるだけでは無く、この目標達成のために、まずは社員と話し合われる機会をもたれることから始めるといいですね。そして、この残業時間の申請と承認のルール、コスト・コントロールについても、是非社員と共に検討してみて下さい。そして、一々山田部長がチェックされる必要の無い管理体制、できれば現地社員にも、その責任の一旦を担ってもらうようにできればいいですね。社員の自覚を促すようになることでしょう」
山田営業部長
「そうだ、これが本当にこの不況下に必要な改革かもしれないなあ。不景気でも前向きにやろう! 業務改革のスローガンは、YES、We can!!!なんてどう? 」
ポイントさん
「あれ?山田部長、小浜市の出身でしたっけ?」

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[ 時事速報・香港第2便より転載 ]


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