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第31回 (雇用条件編6)「雇用契約解約における通知期間」

パソナアジアカンパニーリミテッド 戸崎悦子

人事管理のプロ、我らの“ポイントさん”では、香港での「採用条件」について10回シリーズでお届けします。その6は“雇用契約解約における通知期間”についてです。

☆P商事(香港)営業所の山田営業部長は、取引先から業務縮小や撤退などの話が出てきていることから、営業部の中でも業務が激減する担当社員が出てきました。そこで、今日もなんといっても頼りになる我らポイントさんに“雇用契約解約”について尋ねてみることにしました。
山田営業部長
「ああ、ポイントさん、ちょっと待ってください、ちょっといいですか?」
ポイントさん
「おはようございます。山田部長。珍しいですね、山田部長が週明け早々から香港事務所にいらっしゃるなんて。今週はこちらですか?」
山田営業部長
「いやあ、ちょっとこのところ、いろいろありましてね・・」
ポイントさん
「先行きの不透明感が増していますから、営業最前線としても苦慮されることも多いでしょう」
山田営業部長
「不透明どころかお先真っ暗ですよ。特に営業3課なんですが、一番の取引先からオーダーが激減していまして、ちょっとこの先も目処が立たないといわれてしまって」
ポイントさん
「本当に厳しい状況なのですね・・私を呼び止められたのは、その営業第3課についてのお話ですね」
山田営業部長
「ずばり、シリアスな話しです。第3課で担当している品目の取り扱い目処が立たなくなった今、課の存続にまで話がきていまして」
ポイントさん
「そうですか・・」
山田営業部長
「本当に心苦しいけれど、リストラを実行するしかないかと・・」
ポイントさん
「今日は、ずいぶん難度が高い問題ですから、特に慎重にお答えしなければなりませんね」
山田営業部長
「でもポイントさん、香港ではウチの営業所の雇用契約書にもあるように、法定どおりの“1ヶ月通知期間で雇用契約を解約できる”という条項があるので、まあなんとかなりますよね?」
ポイントさん
「社員からの依願退職の場合であれば、そのとおりの解釈といえるでしょう。今までもご経験あったと思いますが、社員から1ヶ月前の退職願いが出れば、基本的に会社はそれを受け入れるだけですね。その時の、最終給与の計算は去年改定された“過去12ヶ月の支給状況”を基に算出される平均月収額から日当や時給を割り出し、未取得の年休などがあればきちんと計算し買い取ってやることは前にもご説明しましたね。
ポイントさん
「確か・・」
ポイントさん
「しかし今回は、会社からの雇用契約解除、余剰人員の削減(Redundancy)ですから、会社側として考慮すべきは人員整理のコスト面ばかりではありませんよ。会社は人員削減の必要性を充分確認し、また、対象社員の雇用条件と雇用状況の両方について把握しておかなければなりません。また、これらは労働基準のみならず差別条例にも照らし、注意事項を守りながら対応する必要があります
山田営業部長
「注意事項・・??!」
ポイントさん
「はい、まず原則1としては、絶対極秘で対応することです」
山田営業部長
「ええ?話しちゃったらまずい?でも、突然そんな話になったら社員のショックが大きいので、やっぱり少しずつ事情などを説明しておいたほうがいいのかなあ・・と思っていた矢先・・・」
ポイントさん
「そのお気持ちはよ~くわかります。でも、ここでは我慢してください。もちろん、今まで同じ会社で共に苦労してこられたわけですから、少しでも早く社員に伝えて理解してもらいたいとお考えになりたいことでしょう」
山田営業部長
「そうでしょう。それに、直接取引先から情報をキャッチしているから、僕が話さなくてもなんとなく状況は把握できる部分というのもあるし、社員同士も気のせいか敏感になっているような・・・」
ポイントさん
「それはきっと気のせいではないでしょう。もちろん社員は敏感ですから、不安感でいっぱいです。それであるからこそ、まずは、計画を立てていかないと、その他の部や課にまで影響を与えかねません。何よりまず(1)契約終止日を決定しなければなりませんね」
山田営業部長
「タイミングねぇ。年末となるとダブルペイの時期でまずいとか聞いたことがあるけれど」
ポイントさん
「年末年始は、香港の人達の国民性を考慮すると心情的には避けるべきかもしれません。しかし、香港の雇用条例では、雇用契約書に「ダブルペイは支給しない」と明記されていない限り、ダブルペイについては、いつ解雇になったとしても、在籍期間に応じた按分計算で支払われると規定されています。法で定められた社員の受給額はどのタイミングで解雇されても変わりません。
山田営業部長
「なるほど・・」
ポイントさん
「それから、(2)対象社員の“雇用契約書”で入社日を確認します。その他にもすべての人事記録ファイルにも目を通します。ここまでは、自主的に退職する社員と同じです。次に(3)解雇に伴う遺産費(Severance)ですが、雇用解除までに24ヶ月以上就労している社員が対象です。先に割り出した平均月収と(2)で確定された勤続年数を端数までを以って計算し、一旦会社が全額負担して対象社員に支払い、支給証明書を以って強制退職金のプロバイダーに通知し、会社の拠出金からの返金を受けます。」
山田営業部長
「サベーランスとなると、マネージャーのブライアンは20年近くになるって言ってたから、それはちょっと大変な金額になっていますね!?」
ポイントさん
「もちろん平均月収によって個別に計算するわけですが、マネージャーレベルになると高額にはなりますが、サベーランスの上限はHK$390,000と設定されています
山田営業部長
「そうですか・・」
ポイントさん
「また、原則の2ですが“傷病を理由に病欠中ではないか、妊産婦ではないか?”ということも重要です。傷病や出産育児で休んでいる社員を対象社員に入れない方が無難といえます。」
山田営業部長
「ああ、以前にも説明してもらいましたよね」
ポイントさん
「最終給与についは、できるだけわかりやすく説明される必要があります。このほかにも雇用の終止を通知する書面を用意し、対象社員に一人ずつ面談して通達できるように準備を整えます。そこで、原則1に戻りますが、山田部長、このような正式な説明の前に、不確定なリストラについての内容や条件を世間話の中であっても、うっかり社員に話してしまわれないように気をつけてくださいね。社員同士は互いに大変影響されやすい存在です。不安感が関係ないところまで伝染してしまったり、また、山田部長が恩情と考えられて、個別に付けられる条件などは、在籍者員に対して広まるなど、収集がつかなくなる恐れがありますよ
山田営業部長
「私の口が堅いのを知らないんですか、ポイントさん?まあ、いつもビール飲んだだけで人格が変わると言われているので、無理ないですが。口は慎むよう心がけます。それにしても今日のポイントさんは、いつになく厳しいなあ・・・!」
ポイントさん
「いいえ、山田部長、厳しいのはこの私ではなく、ご時勢ということでしょう」
山田営業部長
「ほんとだあ・・・」

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[ 時事速報・香港第2便より転載 ]


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