第24回 “MPF”(強制性公積金/Mandatory Provident Fund Scheme)の制度改正について(上)
パソナアジアカンパニーリミテッド 戸崎悦子
今週の人事管理のプロ、我らの“ポイントさん”では、香港の年金制度である“MPF”(強制性公積金/Mandatory Provident Fund Scheme)ついて考えてみます。
☆P商事(香港)営業所の川崎経理部長は、MPFのプロバイダーからリマインダーを受け取ってしまいました。先月分の積み立て拠出金が未払いだというので慌てています。そこで今日も、なんといっても頼りになる我ら“ポイントさん”に聞いてみることにしました。
- 川崎経理部長
- 「ポイントさん!!」
- ポイントさん
- 「今日も納得できない!!ってことがおありのようですね、川崎経理部長」
- 川崎経理部長
- 「納得どころか、これ、これを見てくださいよ!!MPFのプロバイダーからこんなリマインダーが、それも私宛に送られてきただなんて!!」
- ポイントさん
- 「はあ、どれどれ・・はい、確かにMPF拠出金積み立てが滞っているのでというリマインダーですね。まあこの段階ではそこまで深刻に考えられなくとも・・・」
- 川崎経理部長
- 「いやあ、リマインダーの段階といっても、追徴金や民事手続きの必要が出てくるようなことが書かれていますよね・・☆P商事としては滞納で追徴金なんて信用問題じゃないですか?!」
- ポイントさん
- 「ええ、まあ・・でも、この対処については、経理部副部長の周さんにも尋ねられて・・」
- 川崎経理部長
- 「それはもちろん聞きましたよ。でもなんだかのんきなんですよ。なんでもMPFは毎月10日が支払期日だというけど、多少のことは大丈夫だからといつもぎりぎり間に合うように小切手を送付しているからとか・・挙句の果てに、リマインダーだけだから気にしなくても構わないとか・・私にとっては全く納得できない!!ですよ」
- ポイントさん
- 「☆P商事の日本本社経理部では、ここのように期限ぎりぎりまで支払い処理を調整して・・など考えられないでしょうね」
- 川崎経理部長
- 「そうですよ!それなのに香港営業所では、経理副部長の周さんが先頭を切って、なんでもかんでも支払期限ぎりぎりまで請求書をうっちゃっていますよね。正直、毎月末ハラハラさせられているので、今回のリマインダーについても“ついに追徴金か!”と思いましたよ」
- ポイントさん
- 「ここは、日本のように支払い期限厳守が会社の信頼につながる原則であるといった直接な結び付けをしないようですね。みんな遅らせられるものならできるだけ遅らせるのが支払い処理のテクニック・・と考えているかもしれません。ところが、一つだけ安心して下さい。誰も追徴金を払うような損な真似はしませんから」
- 川崎経理部長
- 「確かにそれはそうでしょうね。罰金や利息が付くというタイミングぎりぎりになると突然機敏に反応しますね」
- ポイントさん
- 「特に周さんは追徴金を支払うような下手な真似は絶対しません。それは私と総経理が保証します!」
- 川崎経理部長
- 「総経理?何を根拠にそんな保証ができるのですか?」
- ポイントさん
- 「周さんとは何度か総経理のマージャン相手をしていますから・・下手な手を打って追徴金のように余計なお金を支払うような生半可な人物ではありません!」
- 川崎経理部長
- 「あの・・そんな変な自信に満ちたポイントさんの“マージャン人格判断”でこの問題を片付けないでくださいよ。現にこうして私宛に書かれた公式のリマインダーが届けられているのですからね。これはすでにこの会社の代表としてMPFA(Mandatory Provident Fund Schemes Authority)に登録されている私の責任になっているのですよ!」
- ポイントさん
- 「はい、それは失礼しました。実は昨日周さんには、この件について既に尋ねさせていただいており、周さんによるとすぐにプロバイダーへ電話で確認を取ったとのことです。そして、プロバイダーからは、既に支払い小切手を受け取っていたのに、時差でリマインダーを発行してしまったとのことでした」
- 川崎経理部長
- 「時差?」
- ポイントさん
- 「プロバイダー側の説明では、毎月中旬頃、各雇用主企業から積み立て手続きと拠出金の入金確認を一斉に行い、自動的にリマインダーを発行、郵送しているそうですが、今回は☆P社から小切手が郵送されたのが週末であったため、その確認作業が週明けに回されたことから積み立て確認の入力作業とリマインダー発行に時差が出てしまったことからリマインダーが自動的に発行されてしまったとのことです」
- 川崎経理部長
- 「ふうん、そうでしたか。そういう事実はマージャン人格判断の前に教えて下さい」
- ポイントさん
- 「なるほど、それは正論ですね」
- 川崎経理部長
- 「ところで、今後も周さんが現行の作業手順でMPFの処理を行い続けても同様の問題が再発生したりはしないでしょうか?」
- ポイントさん
- 「10月までは大丈夫ですよ」
- 川崎経理部長
- 「10月分まで?・・というのはどういうことですか?」
- ポイントさん
- 「それはMPFに関する条例が今年1月18日より一部改訂施行されており、それが今年の11月から実施が決定されているからです。その条例改定で、今後はリマインダーが送られなくなりました」
- 川崎経理部長
- 「そうでしたか!それはありがたいです」
- ポイントさん
- 「それが実は、あまりありがたくはないのです。現行であれば今回のように10日に積み立て確認できなければ、プロバイダーがリマインダーを発行します。これと同時に30日間の支払猶予期間与えられており、あくまでリマインダーで即罰金ではありませんでした。しかし、今年の11月からは毎月10日の積み立て日までに正当な申し出なく積み立てを遅延した場合、時間的な猶予無くMPFAより追徴金として積立金額の5%あるいはHK$5000 のいずれか高い方の金額を請求されることになります」
- 川崎経理部長
- 「ずいぶん厳しくなりますね」
- ポイントさん
- 「そうですね。リマインダー発行数があまりにも多く、また30日間の猶予期間があることから支払いを故意に遅らせる雇用主や、猶予期日の30日間に倒産してしまい結果的に雇用者責任の追求が困難になったケースなどが原因で改定となったようです」
- 川崎経理部長
- 「そうですか。この他にも改定されたことはありますか?」
- ポイントさん
- 「これも厳しいと思われる内容ですが“住宅手当”についてです。今までは収入でもMPF積み立てを免除されていた“住宅手当”の取り扱いについてですが、MPF積み立ての対象となる収入とみなされるようになりました。これも11月から実施です。☆P商事でも確かマネージャー以上には、住居手当を支給されていましたね。これも忘れず収入に含めMPF積立金額を計算しなければならなくなります」
- 川崎経理部長
- 「ああ・・やはりねえ。この条例に改定があったというのは、住居手当がMPF対象から免除されている収入扱いされていることで積立金額を抑えようと操作していた雇用主が少なからずあったということですかね」
- ポイントさん
- 「そういうことだと思います。また、雇用主のみならず従業員側も将来の積み立てより今キャッシュを支給してもらいたい・・という若い世代がまだ多いことも言えます」
- 川崎経理部長
- 「ああ、どうにかして11月からのMPF積み立て日を周さんが厳守してくれるようにしないと、今度はリマインダーがもらえないんですよ、リマインダーが!!」
- ポイントさん
- 「あのう・・お話しのはじめと終わりが逆転していますよ。最後には、リマインダー様々状態っていうことですか?!私の後学のために一度マージャンご一緒にいかがですか?どうも川崎部長についての人格判断不足が否めませんので・・・」
- 川崎経理部長
- 「・・・」
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[ 時事速報・香港第2便より転載 ]
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