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第21回 「どうにかなりませんか・・遅刻撲滅!?」

パソナアジアカンパニーリミテッド 戸崎悦子

今週の人事管理のプロ、我らの“ポイントさん”では現地社員の遅刻について考えてみます。また、働き方や時間に関する観念の違いなど、現地の社員の“本音”に触れたいと思います。

☆P商事(香港)営業所の山田営業部長は、どうも以前から社員の遅刻が気になって仕方ありません。今までにも注意してみまたもののあまり効果があがらないことから、何か根本的に違うのかもしれないと考えています。そこで、今日もなんといっても頼りになる我ら“ポイントさん”に社員の本音を聞いてもらいました。
山田営業部長
「ポイントさん、営業部のみんなから話しを聞いてもらえましたか?」
ポイントさん
「はい、はい。北京オリンピックの香港代表並みの大変興味深い話しが聞けましたよ!」
山田営業部長
「ええっ?遅刻の話しで香港代表・・それもちょっとどんなもんですかねぇ・・まあともかくどんな話しになりました?」
ポイントさん
「まずはですね・・・営業部の皆さんは、全員一致で山田部長はじめ日本人社員の働きぶりについて香港人社員では考えらない!!寝食も忘れて働いている!!と敬服されておられます」
山田営業部長
「うむ・・でも、寝食忘れていたら、僕のお腹はこんなに出てきませんよね・・」
ポイントさん
「毎晩すいぶん遅くまで残業しておられ、また接待で更に遅くなった日でも翌朝には、目を充血させながらでも就業時間前から仕事を始めていらっしゃる。そんな“打工仔”(サラリーマン)は、香港中どこを探しても見つからない!香港でも中小企業のオーナー並みの働きぶり!といった話しでした」
山田営業部長
「そうなんですかぁ。でも、目が充血もコンタクトレンズのせいですけど・・まあいいや。そこまで感心してくれているということは、自分たちも見習うべきだと思ってくれていたりして・・」
ポイントさん
「いやあ、それがそこは別のようです。香港代表らしい意見がそこのところなのですが、なんだかすごく心配だ!というのです」
山田営業部長
「心配?!へぇ・・そうなんだ・・みんな結構なんだかんだといいながら、僕の身体のことを心配してくれている・・」
ポイントさん
「あのう・・すみません。心配の種ですが、山田部長のお身体ではなく香港人社員の評価だというのです」
山田営業部長
「評価?!」
ポイントさん
「そうです。日本人社員の働き方を感心する半面、それをそのまま香港人社員にもそれを期待されてはいないか?ましてやそれが、昇進や昇給に影響しているのではないか?とみなさん随分心配しているというのです」
山田営業部長
「へぇ・・」
ポイントさん
「ジェニーさんは毎朝バス通勤で、朝のラッシュ時は道路事情や天候によって数分遅刻しているようですね。今回の昇給にもこの遅刻が影響しているのではないかと・・・。それから、残業についても聞かれました。終業後に日本語の勉強をしているベンさんですが、以前山田部長に残業を頼まれた夜、たまたま日本語クラスで進級テストが入っていたので断ったそうですね」
山田営業部長
「ああ、そんなこともありましたね。そうそう、○△電機さんへの緊急のアレンジが入ってね。確かに手伝ってほしかったけど、事情をきちんと説明してくれ、無理は言えないなぁと、かえってこっちが恐縮しましたよ。だって、彼はよく普段から残って僕の手伝いをしてくれていますから。この辺はやはり数少ない男同士で付き合ってくれるんですね。ありがたいと思っています」
ポイントさん
「そうだったんですか・・」
山田営業部長
「でも、みんなも遅刻しないで残業しようと思わないでもいいけれど、少しでも遅刻を減らそうとしないで、評価ばかりを心配されてもねえ。タイムカードで出欠勤管理も随分前に止めましたよね、オフィス勤めの人たちには受け入れられないという理由でしたが、本当は以前のように遅刻したら給料から差し引かれた方がはっきりしていたかも。チリも積もれば山となる。毎日1分ずつでも一年もなれば4、5時間にもなるわけだから・・」
ポイントさん
「そうですね。時は金なりですから、遅刻はお金で清算してほしいというのは、現地企業では本音であると思います。しかし、気をつけられたほうがいいですね」
山田営業部長
「でも、○△電機さんも日系企業ですが、厳しく差し引いていると言ってましたよ」
ポイントさん
「歴史の長い会社ですから昔からそのようにされ続けておられ、古い社員は慣れているのでしょうが、新規社員には受け入れられるためにしっかり真意を説明しなければならないでしょう。また、確かに店舗やレストランで働く店員さんを管理される場合などは、勤務時間がはっきりしたシフト制であれば、時間とお金の関係がはっきりした雇用体質もありますし使える方法ともいえますね。でも☆P商事の営業部では何が起こるでしょう。会社が権利を行使すると同時にもちろん社員も行使する。特にそこにはお金が絡んでいますから、感情的になることも手伝って目に見えない対立関係が生まれます」
山田営業部長
「まあ、こういうのが一番ギクシャクしそうですね」
ポイントさん
「そして、給与から遅刻分を差し引くということで時間通りに出勤させることが可能になるかもしれませんが、その代わりに終業時間の6時になったら、何があっても帰るぞ!となってしまいます。そこにこの前のように○△電機さんからオーダーが急遽入ったとしてもベンさんが心から協力してくれるかというとどうでしょう。権利の行使し合う関係では、遅刻しない、時間厳守に心がける一番の目的が「信頼される社会人形成が企業にある」
ということがどこかへ行ってしまいますね」
山田営業部長
「ふむ・・深いですねぇ・・じゃ具体的にどうすれば“遅刻撲滅”できるのでしょうか」
ポイントさん
「まず、遅刻した社員に不機嫌な顔を見せて何も説明しないと事態は深刻になることはあっても好転しません。社員とゆっくり話せる機会を持ち、説教ではなく説明してください」
山田営業部長
「説明って言われても説明するような内容じゃないでしょう。“遅刻なんて論外だ!!”って言えば終わってします」
ポイントさん
「ああ、それはモロに説教です。時間厳守に対しての価値感を香港代表には感じていただきましょうよ。MTRが遅れても時刻表を見せてもらっていない香港では時間に遅れることを認識しようがありません。新幹線が1分遅れたら構内放送でお詫びが流れる日本とは大きな違いがありますね。このような香港代表の意見は大変現実的で、数分ぐらいの遅刻で自分は仕事に影響を与えているとは思えない、また、終業時間になっても必要があれば何十分も残って仕事するとか。ジェニーさんもいつも6時半ぐらいまで会社にいるのも、朝の遅刻をカバーしているつもりだと言っていました」
山田営業部長
「まあ、理屈はいいんですよ、理屈は。でも朝はみんな揃って仕事を始める!数分の遅刻が繰り返されることで、その社員が日本人上司に与える“印象”や、お客さんに対しても管理がしっかりしていない会社と思われては、影響がないというのは勝手な思い違いと思いませんか?」
ポイントさん
「そう、その点をぜひジェニーさんにも説明してあげてください」
山田営業部長
「そうだ、例えば同じぐらい優秀な社員が営業部に二人いる。でも一人しか昇級枠が無い場合、遅刻ばかりしている社員と就業時間10分前に着席している社員であれば、自分は後者を推薦する・・というような説明はどうでしょう?」
ポイントさん
「ほお!香港代表には益々理解されやすいと思いますよ!」
山田営業部長
「なるほどねぇ・・でも、説明するのもめんどうくさいというのも正直なところですが」
ポイントさん
「いやあ、大げさかもしれませんが、ある意味企業のグローバル化の一歩はこういう価値感を交換し合うことではないでしょうかねえ」
山田営業部長
「遅刻撲滅でグローバル化!・・ちょっと今年の僕の昇級試験の論文に書いてみようかな!」
ポイントさん
「はあ?ちょっとそのタイトルではイケてませんけど、山田部長!」

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[ 時事速報・香港第2便より転載 ]


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