第17回 「人事考課と昇給・・社員面談はどうしたらいいの?」
パソナアジアカンパニーリミテッド 戸崎悦子
今週の人事管理のプロ、我らの“ポイントさん”は、人事考課の結果や昇給結果を伝えるための社員との個別面談についてです。
☆P商事(香港)営業所の川崎経理部長は、人事考課も終わり昇給も決定したので、経理部社員との個人面談を予定しています。しかし、昇給結果があまり芳しくない社員との面談について、全く自信がありません。そこで、今日も、なんといっても頼りになる我ら“ポイントさん”に話しを聞いてみましょう。
- 川崎経理部長
- 「ポイントさん、もう帰るんですかぁ?!」
- ポイントさん
- 「ええ、そろそろ失礼しようと思ってですねぇ・・・」
- 川崎経理部長
- 「あのう・・すみません。ちょっとだけ相談にのってもらえませんか?」
- ポイントさん
- 「はぁ・・・それは・・ちょっと・・そのですねぇ・・」
- 川﨑経理部長
- 「もう迫ってきてましてですね。ご存知のようにイースター明けに予定されている人事考課結果と昇給についての社員面談が・・」
- ポイントさん
- 「はい、それはそうなのでしょうが・・・」
- 川崎経理部長
- 「そうなんですよ、特にマネージャーのシェリーさんとの面談ですが、ちょっとどう切り出していいものか悩んでて・・」
- ポイントさん
- 「シェリーさんですか?この☆P商事が香港で営業所を設立して間もなく入社したと言ってましたね」
- 川崎経理部長
- 「勤続18年・・・・」
- ポイントさん
- 「これが彼女の人事ファイルですね。この記録からすると・・高卒、経理専門学校卒業後、3社目で当社へ入社。入社当時は、経理アシスタントからのスタートで、一歩一歩経験を積んできていますね。そして、ちょうど1年前のこの時期に経理部マネージャーに昇格。今年43歳・・・そして、基本給が2万6千ドル・・」
- 川崎経理部長
- 「そうなんです。所謂“たたき上げ”人材です。“歩く経理部職務分掌”とも言えます」
- ポイントさん
- 「いやあ!上手いことおっしゃいますね」
- 川崎経理部長
- 「私は、実際大変助かっていますよ。彼女は、私が着任した当時にもいろいろこちらの業務など説明をしてくれましたし。日常的な経理業務については、任せておいても安心感があります。でも、今はそれだけでは、評価できない・・・」
- ポイントさん
- 「そうですね、この一年はマネージャーとしての評価項目に比重がかかっていますから。例えば強いリーダーシップを求められますが、シェリーさんは大丈夫ですか?」
- 川崎経理部長
- 「彼女は、業務計画を自分で立てて、期限までに自分ひとりでも残業してこなすタイプです。本当は、部下をリードしながら仕事を分配し、チームで効率良く仕事を進めてもらいたいのに、どうも今までのように仕事を抱え込んでしまうのです」
- ポイントさん
- 「そうですか。それは、指示命令を出すことで部下に気を遣ってしまうとか・・または、保身的な気持ちから自分の仕事の領域を守っておきたいというようなことから香港では起こりがちな傾向ですね」
- 川崎経理部長
- 「そんなことでは、マネージャーとしての評価が当然低くなってくるのですがねぇ・・その上、先週の部長会議で聞かれたと思いますが、2008年度予算である昇給分原資を念頭において全体の昇給調整をした結果、勤続年数が長く基本給が高くなっている社員については高い評価結果を得ても、昇給率は一定率で調整しようというルールが決まりましたよね」
- ポイントさん
- 「そうでしたね。今年のシェリーさんには二重苦となりましたね」
- 川崎経理部長
- 「このような社内調整についての事情は、シェリーさんには言えないですよね」
- ポイントさん
- 「それはどうでしょう。個人面談ですので、相手を考えて説明内容を組み立てていただきたいのですが、彼女はマネージャーレベルですからね。このような社内調整は日本的な発想かと思いますが、彼女は日系企業の経歴が長い社員ですから、ご説明されても理解されると思いますよ。それでないと、昇給率が低いことは、彼女の管理能力が低いことばかりが影響しての結果であると思ってしまいますね」
- 川崎経理部長
- 「そうなんです。それでは、やる気を無くすばかりか、ここで転職でもされたら私は困りますよ!」
- ポイントさん
- 「確かに今年の市場的な現象としては、経理人材の不足が目だっています。しかし、シェリーさんの個人ファイルからお見受けする限りでは、学歴、職歴、年齢、性格的にも非常に落ち着いた日系タイプですね。また、指示命令が苦手であることから、自己主張が苦手なタイプ。これは、新しい環境への適応能力があまり高くないタイプとも思われます。転職されることを恐れることより、彼女がマネージャーとして成長することに対しての自信をもたせるように前向きな面談をされなければなりませんね」
- 川崎経理部長
- 「なるほど!」
- ポイントさん
- 「あの・・すみません!もう7時もすっかり過ぎちゃってるので、ホント、この辺で失礼させていただいてもいいでしょうかぁ?!」
- 川崎経理部長
- 「ああ、本当だ!申し訳ありませんでした。でも、そういえば、このごろ妙に足早に帰ってしまいますね? 誘っても飲みにも行けないムードですよ」
- ポイントさん
- 「いやあ、それはですねぇ、僕のワイフですが、今年の旧正月明けに今まで勤めていた地元大手銀行から外資系銀行に転職したんです。そしたら、日系企業とは考え方が大きく違ってきましてね。私の帰りが遅いと“残業する人材は能力が低いからだ!”なんて言い始めているもんですから・・」
- 川崎経理部長
- 「ははぁん、それで納得!でも、ポイントさんに関して言うなら“残業”と“能力”は関係ありませんよ!ポイントさんの優秀さは僕たちが絶対的に評価していますから!」
- ポイントさん
- 「あの・・川崎経理部長。実にありがたいお言葉なんですが、とにかく、この辺で失礼させていただきます!残念ながら部長に高い評価結果を頂戴しても私の今年の小遣い昇給額には全くもってして反映されませんので・・」
- 川崎経理部長
- 「現実だぁ!!きびし~い!!」
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[ 時事速報・香港第2便より転載 ]
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