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第16回 「どう違う?香港と中国本土の残業手当」

パソナアジアカンパニーリミテッド 戸崎悦子

 今週の人事管理のプロ、我らの“ポイントさん”は、香港の「雇用条例」と中国本土の「労働契約法」の異なる法例の下、扱い方が大きく異なる「残業手当」についてです。

☆P商事(香港)営業所の川崎経理部長は、香港とシンセン営業所の双方の経理部を管理しています。今期末に当たり、集中してきた業務をそれぞれ営業所の経理部マネージャーに残業対応させていますが、香港と中国本土の規定に違いがあることを知らないようです。そこで、今日も、なんといっても頼りになる我ら“ポイントさん”に話を聞いてみましょう。
川崎経理部長
「ポイントさん、ちょっ、ちょっと待ってくださいよ」
ポイントさん
「いやあ、何でも“納得する!”がモットーの川崎部長、お久しぶりです!このところ、随分お忙しそうですね」
川崎経理部長
「そうなんですよ。そろそろ期末の決算期ですが、その前に来年度の予算編成、その上に今年は、例のJ-Soxがらみの仕事がありましてね。それも新規に作成しなければならない書類が山積みで、てんてこ舞いなんですよ。あまりにも細かい書類作成が多い作業なので、私だけではありません。毎晩のように香港とシンセンの両営業所それぞれで、マネージャーのシェリーさんと黄小姐の二人が残業してがんばってくれています」
ポイントさん
「ははぁん・・・香港とシンセンに分かれて、同じ役職の二人に同じ課題を与え、それぞれが残業で対応・・ですね。香港のシェリーさんもシンセンの黄小姐もマネージャーですからね。仕事の重要さを理解して残業してくれていますか」
川崎経理部長
「まあ、なんとか・・・」
ポイントさん
「何か“納得!”とはいかない顔になってきましたね、川崎部長・・・・」
川崎経理部長
「そう。実は、ちょっと気になっているのが、香港のシェリーさんです。最初は快諾してくれたのですが、あまりにも毎日残業が続くので、最近はちょっと不機嫌ではないかと・・。しかし、シンセンの黄小姐は至って機嫌良く、残業も全く苦にならないと言ってくれていますが・・」
ポイントさん
「やっぱりどうしてもそうなるでしょうね・・」
川崎経理部長
「やっぱり?・・ということは、何か大きな違いがあるのですね」
ポイントさん
「その違いですか?それはズバリ労働者の自由競争を基本とする香港社会と、労働者保護を基本とする中国本土社会の違いですね」
川崎経理部長
「はぁ・・」
ポイントさん
「例えば、中国本土では、労働時間については統一された規定があります。地方政府がそれぞれ最低賃金を定めていますし、1月1日より施行されている「労働契約法」でも残業規定が細かく決められています。 それに比べ、香港では最低賃金や労働時間の規制はなく、規定されているものを強いていえば、7日間に1日(24時間以上)の休息日を与えなければならない・・といった内容しか見当たりません」
川崎経理部長
「香港は、中国本土と比べると極端にアバウトなんですねぇ。それじゃ、香港では雇用主が残業手当を払わないと決めればそれでもいいんですか?!」
ポイントさん
「そうですね。雇用者が残業手当支給について決定し、雇用契約書に明記すればそれが基になりますから。中国本土のように時給に掛け率を定めて計算する必要もありません。手当金として支給しないで、残業時間の代休を与えることも可能です。 しかし、香港でも中国本土でも共通して言えることは、しっかりした給与支給管理が必要となってきたということです。それには、毎日正確に勤怠記録を付けさせる。正確な計算処理と支給。残業申請書や勤怠記録、給与明細などの関連書類の長期的管理・保管が必要とされています」
川崎経理部長
「そうですね。私も中国本土の残業割り増しレートは、いやでも覚えましたよ。平日残業は時給の1.5倍。土・日の残業は2倍。祭日は3倍でしたね」
ポイントさん
「ほぉー、暗記されるほど支給されているのですね」
川崎経理部長
「このところ残業比率の高い月があって、だんだん気になってはいます」
ポイントさん
「残業管理には、人員配置や仕事の配分・流れなど残業に至るまでの業務管理が鍵ですから、まさしく部門マネージャーの黄小姐の管理手腕に掛かっていますね」
川崎経理部長
「そうなんですね。日本のサービス残業もあんまり感心はしませんけど、ここまで厳しく規定されると大変ですね」
ポイントさん
「香港営業所経理部の残業管理は上手くいっていますか?」
川崎経理部長
「シェリーさん以外の一般職社員については、彼女が残業管理をしっかりやってくれているので、残業時間がかさんで困ることはありません。また、実際一番残業の多いのは実際彼女自身です。でも・・そういえば、彼女自身の残業申請がこのところ提出されていない気がするなぁ・・」
ポイントさん
「まあ、それは、提出されていないでしょう」
川崎経理部長
「ええ、それは、どうしてですか?」
ポイントさん
「繰り返しになりますが、香港では、勤務時間や残業手当支給は、企業の裁量で決定され、雇用契約書に定めた条件が拠り所ですから・・」
川崎経理部長
「ああ、香港営業所の雇用契約書・・・どれどれ、残業手当についてどう定めていましたっけ・・?」
ポイントさん
「ほら・・・ここですね。ええっと・・まず、残業申請について、(1)残業の必要性があれば事前申請が必要。(2)申請用紙には残業の目的(仕事内容)と予想される残業時間を明記し、そして、(3)事前に上司からの承認と署名が必要。次に(4)残業時間は15分を1ユニットとし、(5)時給に残業掛け率は定めず、社員の時給X残業時間によって計算される。(6)当月分残業手当は翌月給与支給日に支給される等・・としっかり書き込まれていますね。そして、これですね最後にある(7)残業手当は一般職社員のみを対象とし支給する・・・」
川崎経理部長
「ああ、それじゃ、去年から管理職に昇進したシェリーさんは、残業手当が付かなくなっていたんで、申請書も提出していない。しかし、マネージャーになったとたん毎晩のように残業する必要性が出てきた・・・ということだったのですね」
ポイントさん
「そのとおりです」
川崎経理部長
「やっぱり、お金なんですね・・あの不機嫌さは」
ポイントさん
「いやいや、それだけとは言えないでしょう。例えば、四川省出身の黄小姐は、シンセンでは寮暮らしでしたね。体力的に問題なければ、残業ももちろん励みになりますね、故郷への仕送りもあることでしょう。でも、シェリーさんは、丁度昇進した去年春ごろ結婚しましたから、生活と仕事の両立という大変さがあるでしょう」
川崎経理部長
「うん、そりゃ、誰だって少しは不機嫌な顔にもなるでしょうね」
ポイントさん
「そういうことですね」
川崎経理部長
「ありがとうございます、ポイントさん。これで少なくとも状況把握ができました。でも、当面の解決案もないので今週も“てんてこ舞い”には変わりありませんがね」
ポイントさん
「でも、さすが経理部長ともなるとちょっと違いますね。そんなに忙しい忙しいと言いながら“てんてこ舞”なんて踊れるのですから」
川崎経理部長
「ああ、そう来ましたか。そういう私だってポイントさんのそのお気楽さには、尊敬の念さえ抱いてしまいますよ!」
ポイントさん
「お褒めに預かって大変恐縮です!!」
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