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第12回 「そろそろ、昇給率が気になりますね?!」

パソナアジアカンパニーリミテッド 戸崎悦子

 今週の人事管理のプロ、我らの“ポイントさん”は来春の“昇給率”見込みについてお話します。

☆P商事(香港)営業所の川崎経理部長は、赴任して半年。つい先日のダブルペイの話が済んだばかりだというのに、次は、昇給率の話が出てきました。これもやっぱり、なんといっても頼りになる我らポイントさんに尋ねることにしました。
川崎経理部長
「なんだか、大変な時期に赴任してしまいましたよ、ポイントさん」
ポイントさん
「“納得する!”がモットーの川崎部長。何か納得いかない!ことでもありましたか?」
川崎経理部長
「いいえ、納得いかないというよりも、まだ香港に赴任して半年なのに、来春の昇給率を決める時期になってしまって・・」
ポイントさん
「そうですね、毎年1月から4月にかけて昇給を実施している企業が多い香港ですから、今年も、昇給率が気になる季節になりましたねぇ~」
川崎経理部長
「参考になる情報はありませんかね、ポイントさん」
ポイントさん
「川崎部長!今年は、ちょっと昇給率については、慎重に決めていただいた方が良いと思いますよ!」
川崎経理部長
「急に深刻な口調になって、びっくりするなぁ・・でも、どうしてそんなに慎重に!とおっしゃるのでしょう?」
ポイントさん
「今年の☆P商事ですが、特に晩秋以降から会社を辞める社員の動きが、ピタッと止まってはいませんか?」
川崎経理部長
「確かにそういわれれば、経理部では、私の赴任前に何人かが入れ替わっていたようですね。着任してからは、誰も辞職してはいませんが。それから、社内で一番離職社員が多かった山田部長たちの営業部のセールスアシスタントたちも、秋以降からはほとんど誰も辞めていませんよ」
ポイントさん
「契約書にも昇給時期が1月と明記していらっしゃいますから、秋ごろまで勤めている社員なら、まずはダブルペイを手にし、次に昇給の具合を見てから・・と思うのが、社員たちの心境ってところでしょうね」
川崎経理部長
「そういえば、7%にも上がっていた香港の失業率でしたよね。最近はどうなっていますか?」
ポイントさん
「なかなか厳しい時期が長かった香港ですが、このLabour Department(労工署)のデータをご覧下さい。今年の第3・四半期は3.9%となっていますね。ちなみに失業率3%で社会が完全雇用状態であるとみなされますが」
川崎経理部長
「ほぉ、ついに3%台まで下がってきましたね」
ポイントさん
「それだけではありません。ワイヤット社のアジアにおけるリサーチ結果では、香港の離職率は18%。これは、マカオの24%に次いでアジアで2番目というものです。驚いたことに中国大陸より高い離職率ということですから・・」
川崎経理部長
「わが社でも、今年の上半期は何人も社員が辞めていますから、離職率の高さを実感している会社も多いでしょう」
ポイントさん
「そうですね。実感といえば、物価の上昇も今年は実に大きく生活に影響していますね。赴任半年の川崎部長には、これらも実感していただくことは難しいでしょうが。今年は不動産価格はもとより光熱費や交通機関の値上げ、豚肉の値上げなど話題に事欠きません。市民生活において、景気回復を物価上昇から久しぶりに実感させられた年といえるでしょう」
川崎経理部長
「そうなんですね。例えば消費者物価指数でいうとどうなっていますか?」
ポイントさん
「ほらほら、2004年9月~2005年10月までを指数100とすると、2007年9月が104.5・・つまり4.5%の上昇となっていますね。社内での仕事量はどうですか?」
川崎経理部長
「☆P商事では、中国での取引高が上がりましたから、香港事務所の仕事量も比例して増えていますね。」
ポイントさん
「では、その一方で転職してしまった社員は多いが、補充採用が追いついていない・・など、一人の社員にかかる負担も増しているということですね」
川崎経理部長
「そうです。そのとおりなんですよ・・フム・・そうなると、どの社員も自然にダブルペイの後に待っている“昇給”に神経を集中してしまいますね」
ポイントさん
「ずばり、そのとおりです! だから、是非とも昇給は慎重にということなのです」
川崎経理部長
「慎重にということは分かりましたから、昇給率について、“ずばり”教えてくださいよ」
ポイントさん
「そうですね、参考資料としてご説明すると、例えばIHRM(Hong Kong Institute of Human Resource Management)が、毎年実施している香港の企業調査結果ですが、06年昇給率2.4%、07年2.8%でした。これに対して08年の予定昇給率としては、平均4%であるということです。また、この他の調査ではHewitt社のものがあり、その発表は平均昇給率4.5%ということです」
川崎経理部長
「それじゃ弊社でも、少なくとも4%ぐらいは考えないといけないということですね」
ポイントさん
「最低ラインでも4%以上でないと、物価の上昇率を差し引く実質昇給率では、0%昇給にもなりかねませんから」
川崎経理部長
「物価上昇率にプラスアルファが必要ということですね。でも、人件費がますます重荷ですね。あー、今日は残念ですが、ここで駄じゃれの一つも出てきませんよ」
ポイントさん
「はい、それは仕方ないでしょうね」
川崎経理部長
「??・・・」
ポイントさん
「なんといっても今日の話題が話題ですから・・・」
川崎経理部長
「“昇給率”の話・・・」
ポイントさん
「落としたくても落とせない・・”ってとこでしょうねぇ」
川崎経理部長
「・・・・?!」
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