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第11回 香港雇用条例編(2)「ダブルペイの季節」

パソナアジアカンパニーリミテッド 戸崎悦子

 今週の人事管理のプロ、我らの“ポイントさん”は、東南アジアの華僑社会では一般的に支給されている“ダブルペイ”についてお話します。

☆P商事(香港)営業所の川崎経理部長は、赴任して半年。香港での年末を初めて迎えようとしています。香港の年末といえば“ダブルペイの季節”。雇用条例も絡めてダブルペイについての話を今回もやっぱりなんといっても頼りになる我らポイントさんに尋ねることにしました。
ポイントさん
「ああ、また、何かまた腑に落ちないことがありますね、川崎部長」
川崎経理部長
「いつも誰よりも僕の気持ちを分かってくれますね、ポイントさん」
ポイントさん
「何でも“納得する!”がモットーの川崎部長ですからね。その顔つきを一目見れば分かりますよ。また、納得いかないことがありましたね?」
川崎経理部長
「そうなんです。実は、ダブルペイについてです」
ポイントさん
「師走ですものね。それに、ダブルペイは、“双糧”と書いて、華僑の習慣ですから、日本にも無いし」
川崎経理部長
「華僑の習慣?」
ポイントさん
「もともと、香港は華僑の街ですね。昔は、今のようにフィリピン人のメイドさんではなく、中国人の“亜媽”さんが、裕福な家庭に住み込みで働いていました。年に一度だけ年越しから新年にかけて里帰りする時に、雇い主が与えた年越し金が今に至っているといったところです」
川崎経理部長
「へえ、そうなんですか・・」
ポイントさん
「これで納得!していただけましたか?」
川崎経理部長
「いや、ダブルペイを支給する歴史はよく分かりましたが、なぜウチが支給しなくてはいけないのか?ということなのです」
ポイントさん
「・・・」
川崎経理部長
「実は、ウチの取引先で香港企業の△Q電機のオーナー社長の李さんと、ちょっと先日食事する機会がありましてね。そこで、ダブルペイの話になり、聞いてみると、△Q電機では、もう7年も前からダブルペイを廃止したとかで・・」
ポイントさん
「なるほど・・・」
川崎経理部長
「△Q電機では、ダブルペイの代わりにパフォーマンスボーナスにして支給したそうなんですが、それで、社員がやる気を出して営業を伸ばした・・という成功談を聞いたものですから」
ポイントさん
「その話は、非常に微妙で難しい話ですね」
川崎経理部長
「やっぱり・・・」
ポイントさん
「やっぱりと言われますと?」
川崎経理部長
「いやあ、ちょっと、その話をですね、経理部副部長の周さんにもしてみたんですが・・」
ポイントさん
「今さら止めるなんて無謀だとか、その上、違法だとか言われませんでしたか」
川崎経理部長
「そう!その通りです。でも、そのちょっと私としては、納得できません!違法なんて人聞きの悪いことを言うので、私も早速、会社の雇用契約書を読んでみたんですが、ダブルペイ支給については一切記述されていないじゃないですか!契約事項にも入っていないのに、慣習的な意味で長年支給されていたということですよね」
ポイントさん
「川崎経理部長には、残念ながら、非常に納得し難いことだとは思いますが、支給を中止するには、大変難しいと思われる点が3つあります」
川崎経理部長
「??!!」
ポイントさん
「それでは、お尋ねしますが、雇用契約書には“☆P商事香港営業所は社員にダブルペイを支給しない”との記述がありましたか?」
川崎経理部長
「いいえ。だから、ダブルペイについては全く触れられていなかったので、もちろん支給しないという記述もありませんよ」
ポイントさん
「今日のポイントはそこです!」
川崎経理部長
「??!!」
ポイントさん
「まず第1点目に香港の雇用条例にあるダブルペイについての既定ですが、そこには“雇用契約書にダブルペイは支給しないと明記していない限り、雇用主は旧暦正月の前に、1カ月分基本給与額を下回らない金額にてダブルペイを支給しなければならない。”となっているのです」
川崎経理部長
「ハア?!」
ポイントさん
「次に第2点目ですが、その上、この会社で毎年慣習として支給され続けているダブルペイですから、契約書にないものでも既に雇用条件の一つと見なされるということになります」
川崎経理部長
「まだ、3点目まであるのですね・・」
ポイントさん
「すみません。今年は景気が回復していますから、社員の転職が、去年以上に活発になると予想されます。特に、ダブルペイとボーナスの出方を見てから、転職するかどうかと考えている社員が少なからずいると予想できます。数年前の雇用環境とは、一変してきていますから、この環境で雇用条件の変更は大変リスクが高いといえるでしょう」
川崎経理部長
「なるほど、ポイントさん。今日は、納豆定食ぅ・・“納得!!”ってなところで、お昼にでも行きましょうよ」
ポイントさん
「最後は、だじゃれですか・・川崎部長・・・」

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  • TEL: 852-2882-3913 (日本語ライン), Fax : 2890-8553, E-mail : hrmhk@pasona.com.hk
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[ 時事速報・香港第2便より転載 ]


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