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第9回 採用編「“初任給”はどう決める!?」

パソナアジアカンパニーリミテッド 戸崎悦子

 今週の人事管理のプロ、我らの“ポイントさん”は、初任給の決め方についてお答えします。

☆P商事(香港)営業所の山田部長は、新しい営業アシスタントの人選も終わり、ついに採用内定書をまとめる段になりました。ポイントさんもすっかり安心・・と思っていたのはつかの間、まだ“初任給”を決めかねている山田部長だったのです。
ポイントさん
「おはようございます、山田部長。朝から頭を抱えていらっしゃるのは、二日酔いのせいですね!」
山田部長
「おはよう、ポイントさん。朝から二日酔いって聞こえが悪いなあ。実は、そればっかりじゃないんだよ、今日の頭痛の原因は・・」
ポイントさん
「どうされましたか?」
山田部長
「実は、呉さんの初任給なんだけれどねえ。いくらにしようかと正直考えあぐねているところなんだ」
ポイントさん
「ええっ!?まだ、彼女の初任給を決めていらっしゃらなかったのですか?」
山田部長
「ああ、だってそりゃ・・・その・・・お金の話っていうのは、なんといっても本人の適応性とかやる気とかを十分会社が理解して、それで、相互確認してから決めるべきものだろう?!会社としても、本人の希望は聞いているとはいっても、そのまま通すとは限らないよね!」
ポイントさん
「う~ん。お金について後で話すというのは、確かに一つの美学かもしれませんし、呉さんにもこの美学が理解されれば大変素晴らしい話ですが。でも、一般的には、採用も交渉事ですから、条件としてのお金の話がまとまらないことには、何も決まっていないことと同様です」
山田部長
「いやあ、でも、電話ではちゃんと悪いようにはしないから・・・と言ってあるよ」
ポイントさん
「う~ん。それで通じていますかねぇ~。大丈夫でしょうかねぇ~」
山田部長
「ああ、またそういうふうにヒトを不安に落とし込むような語尾で話す」
ポイントさん
「彼女の希望金額は最初から聞いておられましたよね」
山田部長
「そう、その彼女の希望金額なんだけれどそれがちょっと問題でね。今朝、人事で調べてもらったら、在職6年になる同部門の林君より10%近くも上回っていることが分かったんだ」
ポイントさん
「なるほど、そういうことですか」
山田部長
「採用する呉さんは林君より年齢も少し若い。その上、大卒なのだけれど、その分社会経験は短い。果たして彼女の希望金額どおりの初任給を払ってやらなければならないのだろうか?」
ポイントさん
「ちょっと待ってください。山田部長、まずは、この呉さんの希望給与を“お金”とは考えないでいただけますか?」
山田部長
「何を言っているんだいポイントさん。誰が見ても希望給与はお金のことだろう」
ポイントさん
「でも、これは人材にとっては“お金”という意味のみならず本人の“プライド”であり、また、“市場相場”であると言えると思うのです」
山田部長
「“プライド”と“市場相場”・・・?」
ポイントさん
「ここの人材は、自分の市場相場をよく研究しています。また、現職の給与基準や仕事内容と新たな職場を比較しての希望給与を出してきます」
山田部長
「まあ、それはそうだろうなあ。転職は我々よりもずっと慣れているから」
ポイントさん
「先日の面接では現在の給与額も聞いていただきましたね」
山田部長
「ああ、ほら、ちゃんとここにメモってあるよ」
ポイントさん
「転職では一般的に15%~20%のベースアップを狙っています。呉さんの場合はどれぐらい狙って言ってきていますか?」
山田部長
「現給与と比較してみると・・・ええっと・・12%ぐらいってところだなあ」
ポイントさん
「ふんふん。それでは、山田部長は、試用期間後に呉さんの基本給を見直されるおつもりはあるのでしょうか?」
山田部長
「それは、ちょっと無理だね。林君との格差がまた開いてしまうもの」
ポイントさん
「はい。分かりました。そういうことであれば、彼女の初任給は、希望通りを通してあげるべきでしょう。ただし、試用期間後の基本給与の見直しは“無し”ということを先に説明されて。これがクリアーで良いオファーになると思いますよ。相手のプライドも市場相場も尊重して」
山田部長
「分かった!そうだね、そうしよう!今日も朝からさえてるネ。それじゃ、そういうことで僕はちょっと一服してくるか」
ポイントさん
「ああ、山田部長もオフィス全面禁煙のお陰で、一日の運動量が増えてよかったですね!」
山田部長
「ああ、どうせ、健康そうで不健康・・・とか言いたいんだろ、ポイントさん!」

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[ 時事速報・香港第2便より転載 ]


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