第3回 採用編「香港の就職・転職環境の変化を知る」
パソナアジアカンパニーリミテッド 戸崎悦子
今週の人事管理のプロ、我らの“ポイントさん”に寄せられたご相談は「履歴書を読み取る --- その2」です。
☆P商事(香港)営業所の山田営業部長は、採用面接を前に履歴書を読み始めました。今度こそは、長く働いてもらえる適材を採用したいところなのですが・・ポイントさんの解説が今日も続きます。
- 山田部長
- 「ポイントさん、履歴書を読めっていうから、何人分も読んだけど、なんだかすっかり自信喪失だよ」
- ポイントさん
- 「自信喪失?」
- 山田部長
- 「長く働いてくれる人を見つけるなんて、ここでは不可能じゃないかってこと。だって、日本では考えられないよね、ここの人の頻繁な転職歴!」
- ポイントさん
- 「ああ、そういうことですか。まあ、それは、仕方ないんですよね・・」
- 山田部長
- 「仕方ない?!って、なんだか簡単に言ってくれるね」
- ポイントさん
- 「あ、すみません。でも、ここの転職は、仕事に対する根気とか、やる気とかいった精神的な問題からじゃないのですから」
- 山田部長
- 「?」
- ポイントさん
- 「香港では、企業は中途採用ばかりですね。新卒採用しない。また、社員研修や人事異動によるジョブディベロップメントを実施している会社は一握りです」
- 山田部長
- 「毎年、新卒は就職難なんだ・・。企業は人材を育てない?」
- ポイントさん
- 「新卒が社会に出る夏の季節は、毎年自然に失業率が上がります。今年あたりは景気回復でまだ良いほうですが、1997年から2005年までは、大変厳しくて文系大卒の初任給六千ドルっていう年もありました」
- 山田部長
- 「ふう~ん」
- ポイントさん
- 「社会に出たばかりの人材は、どうしても最初の数年間、就職先を選択できない。採用してくれるという会社があったらいったんは勤めるんですね。でも、研修もないし、なかなか上手く仕事に馴染めず辞めたり、また、解雇されるケースもあるでしょう。そんな繰り返しになりがちです」
- 山田部長
- 「ああ、そういえば、履歴書を見ても、最初の頃の転職は頻繁だね」
- ポイントさん
- 「日本の新入社員はどうですか?」
- 山田部長
- 「最初は新人研修。その後、配属されてもOJTで研修、また、他の部に人事異動されたりもするよ。今から考えると最初の数年は全部研修だよな」
- ポイントさん
- 「ふんふん、そうでしょ。ここでは、日本の企業で人事部がアレンジしてくれることを、自分自身で『転職』という形でアレンジしているんです」
- 山田部長
- 「それじゃ、社会経験を始めたころの頻繁な転職はやっぱり仕方ないのか」
- ポイントさん
- 「そうですね。理解してやれるものが多いと思います」
- 山田部長
- 「でも、いつまでもそれを繰り返しているってのもねぇ」
- ポイントさん
- 「そうなんです。ポイントは、その後の履歴です」
- 山田部長
- 「仕事は仕事なんだから、少しは我慢もしてもらわないと。少なくとも3年ぐらい経験を積まないと分からないよ」
- ポイントさん
- 「山田部長、今日のポイントです。履歴書を読み取るコツは、社会に出てから数年後ぐらいから。どんなキャリアディベロップメントのために『転職』をしてきたか、しっかりチェックすることです。それから、いくらキャリアのためでも、一社の経験年数は、少なくとも“3年”は必要ですね」
- 山田部長
- 「そうそう“石の上にも3年”だもんな」
- ポイントさん
- 「いいえ、“椅子の上にも3年”。ウチの会社では、安全基準に適合した5本足の事務椅子を用意していますから、3年いてもらっても大丈夫!」
- 山田部長
- 「はいはい、“椅子の上にも3年”ねぇ・・でも、座布団は一枚ってとこだよ、ポイントさん」
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[ 時事速報・香港第2便より転載 ]
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